当直メモ・薬剤メモ・各種文書の書き方 2019/12/3更新済み後全掲載2

当直メモ・薬剤メモ・各種文書の書き方 2019/12/3更新済み後全掲載2

痙攣

<痙攣>
まず止める。呼吸停止に備えてバッグバルブマスクを用意してから、ホリゾン(ジアゼパム)10mg/2ml0.5Aを点滴ライン側管からショットで投与する。痙攣が止まるまで2回まで繰り返す。1時間様子みて止まらないならもう0.5A
止まったら、再発予防にアレビアチン(フェニトイン)250mg/5mL1Aを生食100mlに溶いて30分で投与する。
癲癇は2回目の痙攣発作時に言う。初回痙攣は癲癇と言わないこと。
老人初発の多くは、Alzheimerに合併する老人性癲癇(症候性癲癇の1つ)。
麻痺のない共同偏視脳梗塞後の症候性癲癇の可能性あり。
いびき様呼吸で、乳酸アシドーシスあれば痙攣を起こしている可能性がある。
中年初発では、脳腫瘍、AVMなどを考慮し、頭部CTを行う。
若年者の癲癇は熱性痙攣の既往や癲癇の家族歴、頭部外傷歴を聞くこと。
他にアルコール離脱(osmを測定する)低血糖高血糖、尿毒症(BUN/Cr)、陳旧性脳出血/脳梗塞病変による牽引、低Na、低Mg、低Ca甲状腺機能↑↓、低酸素、SAH脳炎脳卒中、薬物中毒の痙攣(乳酸アシドーシスあれば三環系抗うつ薬を疑う)。
痙攣ではCPK300-2000程度、軽度の乳酸アシドーシスあり。
癲癇(2回目の痙攣)なら車の運転は2年間禁止。
入院させて、デパゲンR(バルプロ酸の徐方剤)800㎎分2朝夕食後を投与する。服用できないなら、アレビアチン(フェニトイン)250mg/5mL1Aを生食100mlに溶いて13回から開始。
有効血中濃度:カルバマゼピン4-12μg/ml、バルプロ酸50-100μg/ml。意識レベル低下あれば採血し、減量する(頭部CTMRIは必要)。


眩暈

<眩暈>
回転性眩暈(vertigo)か浮遊感(diziness/presyncope)か区別する。
★”
世の中がぐるぐる回ってる”、”景色が横に流れる”、”意識は遠のかない”は、回転性眩暈(vertigo)
★”
意識が遠のく”、”目の前が真っ暗になる”、”ふらつく”は、浮遊感diziness/presyncope)。
☆”
ふらついて倒れた”は意識消失があれば失神で、意識消失なければ眩暈として対処する。
☆vertigo
ではほとんどが内耳性だが小脳脳幹病変をr/oする。
☆diziness/presyncope
は心血管性失神(AR/AS,AVB,SSS,除脈伴ったAf,HOCM)と起立性失神(出血/貧血/脱水)をr/oする。
内耳性(vertigo) ・頭位変換で眼振出るならBPPVかも。じっとしてるとおさまる水平性眼振あり。
 ・BPPVなら飛行機は避ける!
 ・風邪が先行し、耳鳴り難聴ないなら前庭神経炎かも。
 ・SSRI、抗ヒスタミン薬、降圧薬利尿薬、抗癲癇薬も原因となる。
 ・内耳の循環改善にアデホスLコーワ2A、シチコリン1A、シアノコバラミン1A、メイロン1Aを生食100mlに溶いて30分で投与する(眩暈点滴セット)。入院後は12回投与。メイロンはラクテックに入れるとCaと結合して沈殿するので注意。
 ・嘔吐にはプリンペラン(メトクロプラミド)10mg2mL 1Ai.v.かナウゼリン(ドンペリドン)坐薬10mg、アタラックスP(H1拮抗薬)1A i.v.、ノバミン(プロクロルペラジン)5mg/1mL 1A i.m.、リンデロン(ベタメタゾン)坐薬0.5mgなど。
 ・指鼻試験正常、回内回外運動正常、体幹失調なし、麻痺なし、構音障害なし、眼振なし、複視なし、で眩暈点滴セットで症状消失したなら、ベタヒスチンメシル12mg(メタヒスロン)12mg3錠、セファドール25mg3 錠、ナウゼリン5mg3錠分3毎食後で処方し、近日中に耳鼻科受診を指示し帰宅。
 ・耳鳴り難聴あれば、初発なら突発性難聴か繰り返すならメニエール病か。
小脳脳幹性(vertigo) ・眩暈点滴セットでも改善しないなら、小脳脳幹の出血を否定するために頭部CTを行う。小脳出血ではほとんどに頭痛がある。
 ・急性期の梗塞の場合はCTでは検出できないので、頭部MRIを行う。PICA領域がほとんど。
 ・1hr以内の超急性期はDWIでも検出できないのでMRAも行う。椎骨脳底動脈解離を否定するためにBIPAS(ビーパス)というMRIのモードで撮影してみるとよい。
 ・小脳の脳卒中は話せないくらいの嘔吐が続き、そのうちMalloryWeissを起こす。吐血すれば血圧は下がるが、この場合は高いか正常のまま⇒GIFよりCT/MRIを。もしくは眩暈改善時に歩けるかチェック(小脳虫部梗塞では体幹失調が出るだけで指鼻や回内回外など正常のことも多い。
☆diziness/presyncope
 ・失神の場合に準じる。
 ・後ろに振り向いたときに浮遊感が起きるなら椎骨脳底動脈血流不全の可能性あるため、後日脳外科受診を指示。
cf)
回転性眩暈で以下の項目がどれにも該当しなければ耳鼻科疾患として帰宅可能(1項目でも該当すればDWI施行を)
 
・顔面や四肢に自覚的な感覚障害がある
 
・他覚的な温痛覚障害がある
 
・指鼻試験、膝踵試験で左右差がある
 
・単脚立位が閉眼で不可能である
 
・眼裂の狭小化、左右差がある
 
・暗所下で瞳孔に左右差がある


ふらつき

<ふらつき>
曖昧な主訴であり、失神、眩暈、全身倦怠感のことあり。
必要あれば採血、頭部CT/MRI、心電図など。
☆”
ふらついて倒れた”は”倒れるときあぶないと思いましたか?”と聞くこと。⇒失神なら思わないし、drop attackや小脳病変なら思ったはず。
浮遊感あれば心血管性前失神(AR/AS,AVB,SSS,除脈伴ったAf,HOCM)、起立性前失神(出血/貧血/脱水)、椎骨脳底動脈血流不全、回転性眩暈あれば小脳脳幹/内耳を検索する。
全身倦怠感ならACTH,コルチゾール,fT3,fT4,TSHACTH単独欠損やSheehan症候群が見つかるかも)を測定。
☆Cushing
症候群の診断:真夜中の12時にデカドロン0.5mg2錠を服用し、朝一番のコルチゾールを測定し、5以下なら正常となる(同時にACTHも測定すればよい)


呼吸困難(SpO2の低下)

<呼吸困難(SpO2の低下)>
急速に生じた喘鳴、SpO2低下、両側肺水腫はACSたこつぼ型心筋症の可能性あり。まずは心電図/TropT/ラピチェックを。
cf)
超急性期のACST波増高から始まるので注意。必ず前回心電図との比較を。
cf)
アナフィラキシーなら皮疹から生じるはず。
・夜間のSat低下は、
痰詰まり⇒呼吸数↑
過鎮静(リスパダールセレネースバルプロ酸など)⇒呼吸数↓
③CO2
ナルコーシス(COPDある場合)⇒呼吸数↓
肺炎⇒呼吸数↑
心筋梗塞、敗血症など血圧低下⇒呼吸数↑
cf)Sat
の変化は呼吸数で代償しきれなくなった時に起こるため、呼吸数の変化がより鋭敏。
呼吸数増加:
代謝性アシドーシスに対する呼吸代償
組織酸素需要量の増大
交感神経興奮状態(心因性の過喚起症候群を含む)
呼吸数低下:
呼吸中枢抑制(麻薬・鎮静薬,CO2ナルコーシス,中枢神経障害)
胸部誘導でのnegativeTSpO2 89%くらいの低下、頻脈、PaCO2低下、AST/ALT/LDH上昇のどれかがあれば、下肢浮腫がなくても、心エコーで右室拡大の有無を確認する(PE/DVTの否定)。
抗癌治療中など凝固亢進状態がある場合は造影CTPEなくても末梢性のPEの場合があるため、必ず心エコーでPA圧を測定してもらう。
☆PE/DVT
によるSpO2の低下は酸素投与で容易に改善するが、見逃すと右心不全が進みCPAになる。
酸素化悪い時は、躊躇せずにバッグ換気⇒挿管をする。酸素化不良を漫然と放置しない。
血圧低下時はSpO2が低く出るので、上気道狭窄音がなく、胸郭が上がっていればバッグ換気はOK
入れ歯をとった時は挿管位置は口角20㎝でOK(普通は22cm)。
挿管困難(CI:cannot intubate)は怖いが換気困難(CV:cannot ventilateはもっと怖い(CVCI)→バッグ換気OKなら挿管は待てる。
バッグ換気で酸素化悪い時は、頚部の聴診と送気したバッグを握ったまま保持しPCVにする。
バッグバルブマスク(アンビューとも言う)FiO2100%にはならないが、ジャクソンリースは酸素10L/分にすれば100%になる。リザーバーマスクも酸素10L/分なら100%になる。⇒この時のPaO2/FiO2を計算して300以下ならALI,200以下ならARDS
挿管の確認はまず左肺⇒胃部(胃泡音が強すぎて左肺の呼吸音と間違うことがある)。
喀痰/呼吸音左右で低下⇒喀痰による上気道閉塞や無気肺。胸部CTにて気管支閉塞を確認できれば、気管支鏡にて吸痰施行。
咳痰/発熱⇒肺炎
 
 ・A-DROPBP90以下/SpO2 90以下/BUN21以上/意識レベル低下/7075才以上)3つ以上該当以上なら入院適応。
 
 ・採血、胸写、胸部CTを。
 
 ・室内気でSpO293%切るようなら痰培、血培2セット採取し入院。
  ・寝たきりの誤嚥は炎症が肺底部に見られるはず。
透析中でBUN↑Cr↑⇒溢水(尿毒症)
 
 ・DWを患者かかかりつけクリニックに聞いて、緊急透析(3時間3L程度)
 
 ・血圧が高くて、心不全もあるならミリスロール原液を2mlショットし、2ml/hrで持続投与。
  ・血中浸透圧>尿中浸透圧なら溢水状態。
☆wheeze/BNP
増加/pitting edema/CXRで上肺野中心の左右対称な肺鬱血(心拡大目立たなくてもbutterfly shadow=CXRで左右対称、上下肺野が白い)⇒急性心不全か慢性心不全の急性増悪
cf)Cheyne-Stokes
呼吸について
・無呼吸と頻呼吸の繰り返し。
脳卒中、うっ血性心不全、重度の腎臓疾患、肺炎、中毒、全身麻酔、乏血、失神、瀕死時。
・酸素化不良⇒頻呼吸⇒CO2低下⇒無呼吸⇒CO2上昇⇒
 ⇒脳卒中:呼吸中枢が障害されてCO2上昇の感知が遅延するため無呼吸が続く
 ⇒慢性心不全:心拍出量が低下し高CO2の動脈が呼吸中枢へくまで時間がかかるためCO2上昇の感知が遅延するため無呼吸が続く
 
 ・胸痛あれば、胸痛の対応に準じる。
 
 ・慢性心不全の急性増悪で血圧が高い(140mmHg以上)ならミリスロール原液を2mlショットし、2ml/hrで持続投与。効果ないならBiPAP(胸腔内圧を上げて静脈還流を減らす効果)
 
 ・ショックバイタル(EF40%以下)なら心原性ショックの対応に準じる。ドパミンキット600/200mL15-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr以下はrenal dose)、ドブポン0.3%注シリンジ50ml(ドブトレックス)15-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr)、DOA:DOB=1:1で合計20γ以下にする。βblockerを使っておりカテコラミンに反応が悪いときはミルリーラ原液(10mg/10ml)を1ml/hrから開始。
 
 ・肺鬱血重篤なら入院後は5%ブドウ糖500ml/day  ・低Alb時はアルブミナーを投与。
 
 ・自覚症状が軽快したら、点滴offし内服薬に速やかに切り替える。
 
 ・心機能が低いが改善傾向見られるなら、1-2日かけてそれぞれの投与量を半減させていく。
 
 ・心不全の治療薬
 
  ①高血圧があればARB+利尿剤(フルイトラン1mg)   ②血圧がそんなに高くなければACE阻害剤(レニベース5-10mg/日、意外と空咳多い)   ③利尿剤はラシックス単剤よりもアルダクトン併用(ルブラック4-8mg/+セララ50-100mg/日⇒セララはDM禁忌)。腎機能悪い時はKに注意する。
 
  ④虚血か収縮低下があればβ遮断薬。アーチストが使いやすい。2.5mg→5mg→10mgと増量。 突然死のリスクは低容量でも予防効果があるが、DCMなどでは用量依存的にEFの改善が見込める。Afのレートコントロールにも使えるがアーチストは意外とレートが下がらないことがあるのでメインテートにする。
 
  ⑤Afがあればジキタリス(ジゴシン0.125-0.25mg/)も考慮するが、虚血心、VPCNSVT頻発では例使用しない。
 
  ⑥coronary risk factorが高ければ、クレストール+アスピリン+PPI
 
  ⑦栄養指導を受けてもらうこと。塩分制限は絶対必要。
 
  ⑧V2受容体拮抗薬(サムスカ15mg)は集合管から水だけ抜くので、肺水腫くりかえし、BiPAP中、透析寸前に使うと良い。
長期の喫煙歴/慢性咳嗽痰/滴状心/やせ⇒COPDの急性増悪
 
 ・喘息の治療と同様だが、リンデロン4mg(0.4%)+5%ブドウ糖20ml12回とBase感染症あるかもしれないのでCTRX1g11回投与し、軽快すれば1週間かけてリンデロンは半減し中止。
 
 ・SpO289%以上になる程度でO22L/分程度までとする。
 
 ・肺線維症では僅かな体動でPaO230mmHg以上も低下することがある。頻回測定が必要。
 
 ・O22L/分にしても、SpO2が改善しないときは、PaCO2pHの関係から、高PaCO2が慢性か急性かを判断し、慢性的ならO2流量を上げるとCO2ナルコーシスから呼吸停止になることがあるため、BiPAP を導入する(それでも無理なら挿管することになるが、人工呼吸器が離脱できなくなることを家族に話した上でそうするか決めてもらう)。
 
 ・底流量の酸素投与でしのげたなら急性増悪の原因(多くは感染症)の治療を行う。
発作既往/wheeze/心拡大なし/BNP増加なし/CTにて肺異常なし⇒喘息
 
 ・ソルメルコート125㎎(プリドール)1Vを生食100mlに溶かして30分かけて投与。超音波ネブライザーでベネトリン吸入液0.5%0.5ml+ビソルボン吸入液0.2%2ml+生食5mL2A(3mlでも可)3回繰り返す。
 
 ・アスピリン喘息ではソルメルコートなどのコハク酸エステル型ステロイドは喘息を誘発するためリン酸エステル型ステロイドであるリンデロンやデカドロン4-8mgに変更する。
 
 ・室内気でSpO293%以上ならフルタイド100ディスカス60ブリスター11230回分、メプチン10μgエアー100吸入5mL1キット発作時30回分、キプレス10111回寝る前、ムコソルバン15313回毎食後を処方し、帰宅。
☆SpO2
91%程度/100/分以上の頻脈/女性/下腿圧痛/肥満/ピル/喫煙/骨盤手術歴⇒DVT/PEかも
  ・まずは心エコー。
 
 ・心エコーで右室拡大あれば造影CTする(D-dimer陰性なら否定的)
 
 ・ワーファリン51錠分1朝食後、ヘパリンNa1000単位/ml5mlショット後、ヘパリンNa1000単位/ml15mlを生食100mlに溶いて5ml/hrで持続投与開始。
 
 ・ワーファリン投与期間:原因が除去できたら3ヶ月、原因不明なら6ヶ月、ProteinS/C欠損//膠原病など原因が一生ものなら一生。
   
大きな肺炎でCRP陰性、Dダイマー上昇を見ると肺梗塞を疑うが、大きな肺梗塞なら肺主幹動脈の閉塞があるはず。
長身痩せ型/喫煙歴/若年男性⇒自然気胸
 
 ・胸痛→呼吸困難
 
 ・正面CXRで正常でも前面気胸かもしれないのでCTを。
 
 ・両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点で肋骨上縁をキシロカイン10mlで陰圧をかけながら穿刺しつつ麻酔し、気泡が逆流したところが胸腔内なので、そこから少し針を戻して胸膜を6ml使って麻酔する。麻酔部を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空け、18-24Fr(フレンチ)の太さのトロッカー(チェストチューブ)を挿入し、12cmH2Oで持続吸引する。
血圧低下/発疹発赤/気道狭窄音⇒アナフィラキシーショック
  ・まず生食全開投与し、ボスミン0.3mg/0.3mlを大腿外側にi.m.  ・ポララミン5mg1A、ラニチジン(ザンタック)100mg1A、ソルメルコート(プリドール)125mg1Aを生食100mlに溶いて30分かけて投与。
血圧低下/気管偏位/片側胸郭膨隆/片側呼吸音低下⇒緊張性気胸
 
 ・両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
体動時の著明な息切れ⇒間質性肺炎
 
 ・RA/SLE/PMDM/サルコイドーシス/カリニ
 cf)RAの活動性はCRPMMP-3でみる。
最近の引っ越し/好中球↑LDH↑/空咳⇒過敏性肺臓炎
好酸球増多⇒ChurgStrauss(IgE↑MPO-ANCA陽性)ABPAIgE↑アスペルギルス抗原↑)。PSL内服必要。呼吸器科コンサルトを。
鳥の飼育歴⇒オウム病?
原因不明なら肺高血圧症かも
  ・心エコーで肺動脈圧を測定。
 
 ・COPD/SLE/PMDM/Sjogren/甲状腺↑↓に合併する。


人工呼吸器について

cf)人工呼吸器について
 
・換気モードについて
 ①CPAP:ずっと一定の陽圧(PEEP)をかけるだけ
 ②PSV:自発吸気時に陽圧をかけるだけ、無呼吸の恐れあり
 ③A/C:自発呼吸をひろって換気、自発呼吸ないときは強制換気、設定以上の換気を行うことあり→頻呼吸→静脈還流↓
 ④SIMV:自発呼吸をひろって換気、自発呼吸ないときは強制換気、設定回数以上は換気しない
 ⑤CMV:一定間隔で強制換気、自発呼吸が全くないとき
 ⑥NIPPV:挿管なしの人工呼吸器、フェイスマスク、吸気/呼気ともに陽圧をかける、呼気時の陽圧はPEEPと同じ、NIPPV専用機がBiPAP、適応はCOPD/喘息/CHF ①~⑤は人工呼吸器のモードで、従量式か従圧式かを選ぶ(従量式は換気量保てるが圧損傷あり、しかし圧波形で状態みれるのでICUではこちら。従圧式は換気量低下あるが圧を設定値以下にするので圧損傷ないため手術室ではこちら。)
 
 ・人工呼吸器の設定
  ①
換気モード:PSVSIMV
 ②FiO2100%からスタート、PF比からPaO280mmHgに保つ
 ③PEEP3-5cmH20 ④1回換気量は8-10cc/kg、呼吸回数は10-12/分、プラトー圧が30cmH2O以上なら6cc/kgにする
 ⑤他はデフォルト値
 
 ・NIPPVの設定:IPAP10cmH2OEPAP5cmH2Oからスタート、PaCO2↓したいときはIPAPを上げる、PaO2↑したいときはFiO2上げる
注意)
SIMV
でアラームがうるさい時は、自発呼吸あるか注意する。
CPAP
に変更し、PEEP5,PS5-10くらいに設定してみる。


血ガスについて

血ガスの評価方法
①pH
7.40±0.05以下ならアシドーシス、以上ならアルカローシス
②PaCO2
は酸性物質で正常値は40±5mmHgHCO3塩基性物質で正常値は24±2mEq/L
③pH
がアシドーシスなら、PaCO2↑HCO3↓のはずであり、PaCO2↑ならアシドーシスの原因は呼吸性、HCO3↓ならアシドーシスの原因は代謝
 pHがアルカローシスなら、PaCO2↓HCO3↑であり、PaCO2↓ならアシドーシスの原因は呼吸性、HCO3↑ならアシドーシスの原因は代謝
 ∴要するに、pH変化の原因がPaCO2なら呼吸性、pH変化の原因がHCO3なら代謝
④pH
変化の原因がPaCO2で、HCO3が異常値なら代償、正常値なら非代償
 pH変化の原因がHCO3で、PaCO2が異常値なら代償、正常値なら非代償
(代償の結果、pHが正常範囲になることはなくても”代償された”と言う)
例)pH,PaCO2,HCO3の組み合わせは全部で18通り
pH↑PaCO2↑HCO3↑
:代償された代謝性アルカローシス
pH↑PaCO2↑HCO3↓
:ありえない
pH↑PaCO2↑HCO3→
:ありえない
pH↑PaCO2↓HCO3↑
:混合性アルカローシス(呼吸性+代謝性)
pH↑PaCO2↓HCO3↓
:代償された呼吸性アルカローシス
pH↑PaCO2↓HCO3→
:非代償の呼吸性アルカローシス
pH↑PaCO2→HCO3↑
:非代償の代謝性アルカローシス
pH↑PaCO2→HCO3↓
:ありえない
pH↑PaCO2→HCO3→
:ありえない
pH↓PaCO2↑HCO3↑
:代償された呼吸性アシドーシス
pH↓PaCO2↑HCO3↓
:混合性アシドーシス(呼吸性+代謝性)
pH↓PaCO2↑HCO3→
:非代償の呼吸性アシドーシス
pH↓PaCO2↓HCO3↑
:ありえない
pH↓PaCO2↓HCO3↓
:代償された代謝性アシドーシス
pH↓PaCO2↓HCO3→
:ありえない
pH↓PaCO2→HCO3↑
:ありえない
pH↓PaCO2→HCO3↓
:非代償の代謝性アシドーシス
pH↓PaCO2→HCO3→
:ありえない
アニオンギャップ(AG=Na+K-(CL+HCO3))を計算する。正常範囲は10-15mEq/L
注意)血ガス評価で鑑別できる病態
☆Metabolic Acidosis (Anion Gap)
MUDPILES
Methanol Uremia Diabetic Ketoacidosis (check serum ketones) Propylene Glycol (in BZD drips) or Paraldehydes Isoniazid Lactic Acidosis (check serum lactate) Ethylene Glycol (anti-freeze) Salycylates
GOLDMARK
Glycols (ethylene or propylene) Oxoporin (reflects fatty liver damage from glutathione consumption, e.g. acetaminophen toxicity) L-Lactate D-Lactate (bacterial form) Methanol Aspirin (salycylate) Renal Failure (BUN uremia) Ketoacidosis
☆Metabolic Acidosis (Non-Anion Gap)
GI Loss
Diarrhea / Laxatives Fistula, (pancreatic, biliary) Uretero-intestinal diversion (ileal conduit)
Renal Loss
Renal Tubular Acidosis (Type 1 Distal or Type 2 Proximal) Renal Failure Hyper-kalemia
Exogenous Acid
HCl Amino Acids
FUSED CARS
Fistula (pancreatic, biliary) Uretero-gastric conduit Saline admin (dilutional acidosis) Endocrine (hyper-PTH) Diarrhea Carbonic anhydrase inhibitor (acetazolamide) Ammonium chloride Renal tubular acidosis Spironolactone
☆Metabolic Alkalosis
Alkaline Input
Bicarbonate Infusion Hemodialysis Calcium Carbonate Parenteral Nutrition
Proton Loss
GI Loss (vomiting, NG suction) Renal loss Diuretics Mineralocorticoids
☆Respiratory Acidosis
Airway Obstruction
Foreign body, aspiration OSA (obstructive sleep apnea) Laryngo- or broncho-spasm
Neuromuscular
Myasthenia gravis Hypokalemic periodic paralysis Guillain-Barre Botulism, Tetanus Hypo-kalemia, hypo-phosphatemia Cervical spine injury Morbid obesity Polio, MS, ALS
Central
Drugs (opiates, sedatives) Oxygen treatment in acute hypercapnia Brain trauma or stroke
Pulmonary
Pulmonary edema Asthma Pneumonia ARDS COPD Pulmonary Fibrosis
Mechanical Ventilation
☆Respiratory Alkalosis
Hypoxia
High altitude CHF Pulmonary Embolism
Lung Disease
Pulmonary fibrosis Pulmonary edema Pneumonia
Drugs
Progesterone Nicotine
Stimulation of Respiratory Drive
Psychogenic Neurologic (pontine tumor) Sepsis Pregnancy Mechanical ventilation
cf)
急性か慢性か
COPDの急性増悪時のpH7.30,PaCO255mmHgな場合:PaCO21mmHg変化すると、pH0.008変化する。平常時のpH7.40とすると、pH7.40-7.30=0.1変化しているため、PaCO20.1/0.008=12.5変化していることになり、もとのPaCO255-12.5=42.5mmHgと推測できる。
 
PaCO2上昇があるのにpHが正常であれば慢性的な高CO2血症、PaCO2上昇がありpHがアシデミアであれば急性の高CO2血症。
cf)
静脈血で代用できるか?
ABGVBGの変換
 pHVBGABGより0.02-0.04高い(◎)
 HCO3VBGABGより1-2mEq/L高い(○)
 PCO2VBGABGより3-8mmHg高い(○)
 ∴PaO2SaO2をみる以外はVBGでもかまわないのでは?
   Kelly.A.M. Can venus blood gas analysis replace arterial in emergency medical care
   Emerg Med Australias 2010.22(6) 493-8


嘔吐

<嘔吐>
若年者のほとんどは黄ブ菌の食あたりやウィルス性胃腸炎の部分症状。
嘔吐のみの若い人は急性虫垂炎/DKAかも。
中年以降は心筋梗塞と大動脈解離に注意する。
嘔吐したらCl低下でHCO3上昇(下痢はHCO3低下)。
内服は無理なら3号液などの点滴を行う。血圧低下や洞性頻脈あるときは外液投与を。
嘔吐の原因:
 
 ・急性胃腸炎⇒数日後に水溶性下痢、プリンペラン1A i.v.,ミヤBM3g3,ナウゼリン坐薬
 
 ・GRED⇒タケプロン,ランソプラゾール,オメプラール等。ラクテック混注は沈殿する。
 
 ・脳圧↑⇒瞳孔左右差,Cushing sign  ・小脳出血⇒頭部CT/MRI
  
片頭痛⇒マクサルト1(5HT1作動薬)  ・前庭系⇒アタラックスPH1拮抗薬
 
 ・DKA⇒BS↑、尿中ケトン体↑、代謝性アシドーシス。生食とインスリン持続投与。
 
 ・妊娠悪阻⇒ブドウ糖+B1を投与。頭部CT/MRIaxial(水平断)で両側視床high intesitycoronal(冠状断、額に平行なスライス)扁桃体や海馬の萎縮ないか見る。(ちなみに額と直行するスライスはsagital)  ・尿閉⇒膀胱充満でも嘔気くることあり。下腹部痛+嘔気が多い。臍周囲の腹痛+嘔気は腸閉塞を考慮。
 
 ・腸閉塞⇒腹部術歴ある老人。プリンペランは禁忌。NG挿入で50cmH20-30-30秒の設定で胃液を回収し悪化を防ぐ。腸閉塞があり、小腸と盲腸と上行結腸の拡張なら麻痺性イレウスで急性虫垂炎や憩室穿孔を探し、小腸だけの拡張なら外ヘルニア(鼠径ヘルニア/大腿ヘルニア/閉鎖孔ヘルニア)や癒着性イレウス(closed loopbeak sign)を探し、盲腸や上行結腸だけの拡張と下行結腸の虚脱なら大腸癌等の閉塞を探す(⇒便潜血)。
☆ED
チューブ挿入時は座位で頸部を前屈気味にすると良い。挿入の確認は必ず胸写と聴診で行う(意識障害認知症でむせもない場合は、気管支深く入っていれば聴診で異常とらえられないことあり)。ガイドワイヤーを抜去すると映らないので、入れたまま(抜去してたら再度ガイドワイヤーを留置して)撮影する(留置しなおす時にも使える)。ガイドワイヤーを抜く時は、水を通さないと抜けないことに注意する。
cf)ED
チューブは栄養の注入のみ、胃管=NGチューブ=Magenチューブ=レビン(チューブ)=Margenゾンデは栄養の注入だけでなくドレナージにも使う。
cf)
マーゲンチューブが入りにくい場合は冷蔵庫で冷やすとよい。


急性胃腸炎

<急性胃腸炎
<注意!!>
下痢の訴えで、実は軟便、臍周囲の鈍痛、食欲なしは虫垂炎!!
虫垂が長くて臍あたりまで来ていると考えるべし!!
もしくは腸捻転や絞扼!!痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水あれば疑うこと。痛みは強いはず。
嘔吐、臍周囲の腹痛、水様性下痢のtriasが揃って初めてウィルス性胃腸炎と診断できる。
嘔吐から始まって水様性下痢になるのが普通。
嘔吐が激しく、食べられないときは補液するのが親切。
☆39
度以上の発熱、濃粘血便、激しい腹痛、しぶり腹(tenesums)のどれかがあれば細菌性腸炎を疑って、ミヤBM3g3、ホスミシン250mg4錠分4処方する。重篤であれば便培養と赤痢アメーバの抗体検査をする(セキリアメーバAB:FA)。
老人の脱水でGFR低下時は入院を。
水様性下痢、腹痛、嘔吐のtriasがそろってない時は、虫垂炎、子宮外妊娠、腸閉塞(特に絞扼性)、出血性胃潰瘍を否定すること。
ウィルス性の胃腸炎なら23日で治る。整腸剤のミヤBM3包分312T/3x、ブチブロン1T頓服、下痢止めのロペラミド2T2を処方し帰宅。
☆3
5日前くらいにイカ、サバを食べたのならアニサキスIgG抗体を測定する。
腸炎が長引いているのならアレルギー反応かもしれないのでIgE indexを調べる。
食あたりの発症時間
黄色ブドウ球菌:おにぎりなど、23時間
サルモネラ:鶏卵、鶏肉など、672時間
ウェルシュ菌:カレーなど、12時間
腸炎ビブリオ:生魚など、620時間
カンピロバクター:食肉(特に鶏肉)など、23
・病原性大腸菌:井戸水、多種の食物、35


下痢

<下痢>
<注意!!>
下痢の訴えで、実は軟便、臍周囲の鈍痛、食欲なしは虫垂炎!!
虫垂が長くて臍あたりまで来ていると考えるべし!!
もしくは腸捻転や絞扼!!痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水あれば疑うこと。痛みは強いはず。
数週続く慢性下痢は赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、乳頭不耐症、UC、クローンを考慮。
ミヤBM3包分3、ロペミン2錠分2CDトキシン、ベロトキシン検査を同時にしておく)、ORS(水1Lに小さじ15gの塩と大さじ115gの砂糖)で尿回数が5-7回になるようにする。
軟便を水様性下痢ということがある。
細菌性であっても抗生剤はキャリア化や増悪を助長するので投与しない。細菌性疑えば便培養を。カンピロバクターならアジスロマイシン(マクロライド)(NQは耐性多い)赤痢アメーバならST合剤。
感染性胃腸炎の原因
 
・おにぎり、手弁当→黄ブ菌、セレウス菌、潜伏6時間、毒素で嘔吐中心、発熱なし
 ・サラダ、魚介類(カキ)→ノロウィルス、潜伏1日、毒素で嘔吐中心、発熱なし(カキによるA型肝炎は摂取30日後に発症)
 ・いずし→サルモネラ、潜伏1日、毒素で嘔吐中心、発熱なし
 ・夏の海産物→腸炎ビブリオ、潜伏2日、感染型で発熱と下痢中心
 ・生の鶏/牛肉→カンピロバクター、潜伏5日、感染型で発熱と下痢中心、血便のことも、便培養(特殊な培地)、GBSの原因
 ・肉、生野菜→HUS、潜伏7日、感染型で発熱と下痢中心、血便のことも、便培養、腎機能と血算
カンピロバクター、エルシニア、O-157CRP著増の水様性下痢を来すことがある。
水様性下痢に腎機能障害、血小板減少を見たら、塗抹標本で破砕赤血球を探す。あればHUSTTP血漿交換療法。
潰瘍性大腸炎(UC)クローン病(CD)(IBD:UC,CD)
 ・10から20歳代で慢性の下痢、腹痛、体重減少、貧血があれば疑う。
 ・UCでは粘血便、下痢がメイン。CDは血便は稀で若年なのに痔核や痔ろう、肛門周囲膿瘍、腸閉塞が見られる。
 ・UC内視鏡所見:軽度がびまん性に血管透見が消失し顆粒状粘膜、中等症では浅い潰瘍が散在、易出血性、膿性粘液付着、高度は著名な自然出血、深掘れ潰瘍、島状残存粘液。
 ・CD内視鏡所見は多発する縦走潰瘍、敷石像、アフタ。
 ・UCの重症度分類:重症は排便16回以上、便潜血3+37.5度以上、脈拍90回以上、Hb10以下、赤沈30mm以上(正常は10±5)のうち4項目以上陽性。軽度は排便14回以下、便潜血+から-、発熱/貧血/頻脈/赤沈亢進なし。中等度は高度ど軽度の間。
 ・CDの重症度分類:軽度はCDAI150から220、合併症なし、CRPはわずかな上昇、重度はCDAI450以上、腸閉塞や膿瘍あり、CRPが高度上昇、治療反応なし。中等度は軽度と重度の間。
 ・UCの治療は経口5-ASA(ペンタサ、アサコール)2g/日以上、もしくはSASP(サラゾピリン)3-4g/日に5-ASA注腸(ペンタサ)1g/日もしくはステロイド注腸を加える。無効ならPSL30-40mg内服。緊急性あるときは白血球除去療法や免疫抑制剤(AZA:イムラン、6-MP:ロイケリン)。直腸型ならサラゾピリン座薬も可。
 ・CDの治療は軽度は5-ASA、中等度はPSL40mg内服を1週間で減量、離脱できないときはAZA6-MPを追加。緊急性あるときは顆粒球除去療法。重度はPSL40-60mg静注。
 ・ステロイド長期使用例ではCMV、抗生剤使用例ではC.difficile、生物学的製剤や免疫抑制剤使用例では腸結核B型肝炎再燃に注意すること。
 ・感染性腸炎は長くて1週間程度(ただし、アメーバ腸炎は同性愛者で見られ長期に続く)。
 ・IBSでは便潜血は陰性。


吐血、下血、血便

<吐血、下血、血便>
フォロー中にBUNが上昇してきたときは消化管出血を疑うこと。Crが同時に上昇していても、出血による脱水が合併しているのかもしれないので、単なる脱水と即断しないこと。
咳の結果出た喀血、嘔吐の繰り返しで出た吐血、下痢の繰り返しで出た鮮血便は粘膜損傷の事が多い。軽症ならトランサミン処方で経過観察でも可。
吐血の色
 
・茶褐色~黒色⇒胃や食道からの慢性出血(炎症,潰瘍,腫瘍) ・鮮血⇒茶褐色の嘔吐を繰り返しているうちにMallory-Weisseを起した、GERD、静脈瘤(肝硬変)など
下血の色と出血部位
 ・真っ黒⇒上部、下血と言う。胃十二指腸潰瘍(PUGa/D)、胃癌、GERDなどを疑う。最終飲食時刻を聴取し緊急内視鏡の準備。
 ・暗赤色⇒下部、血便と言う。憩室出血は腹痛なし、右or左下腹部痛は憩室炎、CTで憩室ないなら虚血性腸炎(腹痛とともに普通便から徐々に軟便となり最後に下痢状の血便になる)、腹痛や炎症反応軽度、経口摂取可能ならクラビット100mg5錠分1処方し帰宅も可。大腸癌の場合もあるのでCFは必ず勧めること。
 ・真っ赤⇒血便と言う。直腸潰瘍(長期臥床、E入りキシロカインを含んだガーゼを直腸に充填し帰宅)、痔核(陥頓による痛みがなければヘモレックス軟膏2g処方し帰宅)、肛門周囲膿瘍(痔瘻ないか造影CTをすること)、裂肛(ヘモレックス軟膏2g処方し帰宅)。Hb低下あれば大腸癌かも。CFは必ず勧めること。
☆20
代前後ならクローン病(+腹痛、下痢)やUC(+腹痛)も(どちらも高齢者でもピークあり)。血沈とHbのチェック。CFは必須。
初期対応
 
・普段より血圧低下、頻脈、じとっとした皮膚(冷汗)あればルート確保し、ラクテック+チチナ1A+リカバリン1A、オメプラール1A+生食100ml点滴(生食20mlに溶いて静注も可)。
 ・モニター装着、血ガスでHb/Lac/pH/BEチェックして、ふらつき/頻脈/起立性低血圧/Hb低いならRCCオーダーと輸血同意書を取っておく。
 ・肝硬変による静脈瘤の可能性低いならNGで上か下か確認してもよい。鼻出血でも黒色便になるし、NGでも胃からか鼻からかは分からない。慢性出血で嘔吐を繰り返しての吐血はMalloryWeisse症候群の可能性あり。
 ・基本は緊急内視鏡
 ・入院になるならCA19-9CEA/ピロリ抗体/クロス血/入院時採血セット/ECG/胸写/入院時指示。
緊急でないならゆっくり病歴(最終飲食時刻、喫煙、アルコール)、身体所見(明らかな下血なければ直腸診と便潜血)、憩室炎で下腹部痛あるときは炎症反応上がる(なければ憩室症)。
内視鏡操作メモ
 
・右梨状陥凹(モニタの左側)に来たら、カメラを下向きにして、本体を持っている左手を右上に持ち上げてカメラをそっと押すと入る。
 
SDJではスコープを持っている右手で反時計に回しながら挿入する。
 
・十二指腸の1st portionに入ったらカメラを上向きにして、本体を持っている左手首を巻き込むように右に回すと2nd portionに入るので、少しカメラを引き戻すとさらに入っていく。
 
・食道に入ったらまず洗浄する。食道の血管がなくなっているところがSDJ
 
・胃内の血管が透けて見えるところは萎縮性胃炎。
 
・胃内でJターンしたときにニュースカレークを吸引する。
注)便が黒いからと言って消化管出血とは限らない!
・鉄剤やマドパ(レボドパ)+マグミット内服中も便が黒くなる。マグミットに内服してると下痢状にもなり、タール便と紛らわしい。鉄剤による黒色便はやや緑がかっており、あまり臭くないのが特徴で、鉄剤を休薬すると3日程度で色が戻る。
注)メネシット、マグミット内服中で口腔内に黒色物が付着し、吐血と間違うことあり。


便潜血について

cf)便潜血について
 ・化学潜血反応では肉、魚、緑黄色野菜、鉄剤で偽陽性になりやすい
 ・免疫学的潜血反応では上部からの出血ではHbが分解されて偽陰性になりやすい、大腸癌スクリーニングに最適。鉄剤では偽陽性にならない。


吐血で緊急内視鏡適応でない場合

cf)吐血で緊急内視鏡適応でない場合(Glasgow-Blatchford scoreも参考にしよう):
 
 ①十二指腸穿孔
 
 ②発症24hr以降
 
 ③腹痛が限局的
 
 ④造影剤の漏出なし
cf)Glasgow-Blatchford score
 BUN:6.5-8(2)/8-10(3)/10-25(4)/25-(6),Hb12-13(1)/10-12(3)/-10(6),Hb10-12(1)/-10(6),SBP100-109(1)/90-99(2)/-90(3)/脈拍100-(1),タール便あり(1),失神あり(2),肝疾患あり(2),心疾患あり(2)⇒0点なら緊急GIFは必要なし


過換気症候群

過換気症候群
アタラックスP1A筋注→セレネース1A筋注(セレネースは投与直後は不穏になることあり、効果発現まで20分程度。鎮静されると舌根沈下の恐れあるためSpO2低下時はまず側臥位にする、それでも低下なら鼻カニューラで2L程度酸素投与、無理ならnasal airway挿入、ホリゾンと異なり呼吸停止はない)
cf)
筋注の方法:
 
上腕の三角筋をつかんで垂直に青針(23G)3分の2程度までの深さまで穿刺する。
不安性障害やパニック発作によるものが多いが、原因検索を忘れないこと。DVT/PESAHなど。若年者でSpO2 93%は異常!ふくらはぎの痛みや張りがなかったかを聴取、心電図で右心負荷(胸部誘導でのnegativeT)がないかチェックする!


不眠症

不眠症
デパス0.51錠+マイスリー(ゾルピデム)52錠就寝前頓服を3日分処方でとりあえずはOK
効果ないならウィンタミン(クロルプロマジン)12.5mg1錠就寝前頓服を3日分処方。
それでも効果ないならベゲタミンB0.5錠就寝前頓服を3日分処方。
抑鬱状態なら抑肝散7.5g/3x、ミラドール503T/3xを処方する。
不眠の原因検索もせずに初診や時間外で28日分を処方するのは禁忌。
後日の内科受診を指示(精神科と言うと過剰反応する人がいるので)。


頸椎捻挫

<頸椎捻挫>
神経所見に異常なければ、後日整形受診を指示。
念のため頚椎レントゲン(開口位と側面の2方向)か頚椎CTをとっておく。
ケンタン3T3、ムコスタ3T3、インテナンスシップ(かぶれる人はスミルスチックやインテバンクリーム)を処方する。2週間程度で治るが、人によっては長引くことがあると説明。
診断書は10日加療にする。


高血圧

<高血圧>
血圧を測って、普段より高いので、不安になってくる人が多い。
視野異常、嘔気嘔吐、他の神経所見なければ、収縮期200mmHg以下であれば降圧は不要。
体調が悪いから血圧が高いのであって、血圧が高いから体調が悪いのではないこと、血圧を不用意に下げると脳梗塞の危険性もあること、を説明する。
希望が強い場合は、点滴と安静指示。
浮遊感、眩暈で来院することがあるので、その場合は頭部CTを。
☆200
以上の高血圧で他に症状ないなら降圧薬の飲み忘れもあるぞ。
降圧薬を使う前に、2次性高血圧除外のためにBNP、アルドステロン、レニン活性、コルチゾールACTHC3分画(アドレナリン、ノルアドレナリンドパミン)、PAC/PRA比の測定と、腎血管エコーを行うこと。
cf)C3
分画の採血は30分安静臥床後、そのまま採血すること。
注)
・高圧目標は高齢者、冠動脈疾患、脳血管障害既往では140/90未満、DMCKD130/80未満
ARBCCB、利尿剤によらず心血管イベントは降圧度の応じてリスクが下がる。薬の種類は無関係。
・投与方法は、朝1回では朝の血圧が高いときは就寝前1回や夕方投与にする、12回投与に分割する。RA系は早朝に亢進する。もしくは、朝にARB、就寝前にCCBなど。
・血圧は夜間睡眠中に下がるのが正常で、睡眠中に上昇するのはriser、下がらないのはnon-dipperで心血管イベント増加につながる。副交感神経優位になり、代償的にRAA系が亢進しすぎるとriserになる。
・少量サイアザイド(ヒドロクロロサイアザイド6.25mg)併用でNa排泄を促進させるとよい。
・減塩指導の1例:加工品を減らす、漬物は浅漬けや酢漬け、味噌汁は11杯、小ぶりの汁椀にする、ラーメンは止める、減塩の調味料、12gまで
・非ジヒドロピリジンCCBβ拮抗薬は徐脈や房室ブロックに注意。ARB/ACEI+抗アルドステロン薬は高K血症に注意。
NSAIDsは利尿薬、β拮抗薬、ACEIの降圧効果を減弱させる。
H2拮抗薬はチトクロームP450を阻害し、CCBβ拮抗薬の降圧効果を増強する。
ジゴキシンは非ジヒドロピリジンCCBの併用で血中濃度が上昇する。
・夏場、高齢者にRA系抑制薬+利尿薬の組み合わせは脱水から腎性腎不全になることがある。
・グレープフルーツはチトクロームを抑制し、ジヒドロピリジンCCBの作用を増強させる。
・リファンピシンはチトクロームを誘導し、ジヒドロピリジンCCBの作用を減弱させる。
DM合併例では、ARBACEIを第1選択とするが、降圧作用が不十分で腎機能障害あるとき(Cr2-3)は増量せずに、CCBを追加する。
CKDでも高血圧による腎硬化症や多発嚢胞腎は体血管の血圧と糸球体血圧は相関が少ない。一方、DM性腎症や糸球体腎炎では全身血圧が正常でも糸球体血圧は上昇し、糸球体硬化を引き起こし、限外濾過係数を低下させ、さらに糸球体血圧が上昇する。
・糸球体への前負荷を蛋白制限で減少させ、後負荷をRA系抑制薬で減少させる。
⇒CCB
で血圧を下げても、充分に降圧しないと糸球体保護にはならず、RA系で降圧効果が不十分でも糸球体血圧が下がり糸球体保護につながる場合がある(ただし、Cr3を超えると糸球体血流の低下を招き、さらなる腎機能低下を招く可能性あり)
腎硬化症や多発嚢胞腎ではCKDでも140/90未満を目標にすればよいが、DM性腎症や糸球体腎炎では125/75未満を目標とする。
・脳卒慢性期の降圧目標は、140/90未満、両側頚動脈高度狭窄、脳主幹動脈閉塞の場合は下げすぎに注意。ラクナ梗塞や脳出血既往ではさらに下げる。CCB.ACEI/ARB,利尿薬など。
心不全合併例では、HFrEF(HF with reduced EF=収縮不全)HFpEF(HF with preserved EF=拡張不全)に分ける。EF低下とは40-50%以下を指す。
HFpEFは高齢女性、高血圧、DMAfで多い。
心不全ではRA系が亢進しているので、ACEIARB投与により過度の降圧や腎機能障害を生じやすいので、通常量の25%程度から開始する。
β拮抗薬は幅広い重症度の心不全患者に予後改善効果がある。カルベジロールとビソプロロールなど。ごく少量から開始し、体重、胸部X線、BNPをモニタリングしながら使用する。
・利尿薬で臓器鬱血を軽減させ、長時間作用型ジヒドロピリジンCCBで降圧させる。
・拡張不全における臓器鬱血には利尿薬が有効。頻脈やAfがあれば心拍コントロールを行う。
・冠攣縮性APにはβ拮抗薬単独は禁忌なので、機序が不明な場合や、冠動脈狭窄と攣縮がともに関与している場合は、長時間作用型CCBが第1選択となる。140/90未満が目標血圧。
心筋梗塞既往ではRA系抑制薬とβ拮抗薬の組み合わせがよい。130/80未満の厳格な血圧コントロールが重要。
cf)
高血圧治療ガイドライン2009若年者、中年者:診察血圧130/85未満、家庭血圧125/80未満
高齢者:診察血圧140/90未満、家庭血圧135/85未満
DM,CKD,
心筋梗塞後:診察血圧130/80未満、家庭血圧125/75未満
脳血管障害後:診察血圧140/90、家庭血圧135/85正常高値130-139/85-89
I
度高血圧:140-159/90-99
II
度高血圧:160-179/100-109
III
度高血圧:180以上/110以上
リスク第3層(DM,CKD,心血管病):正常高値以上で全て高リスク
リスク第2層(CKD,心血管病のうち1-2orメタボ):正常高値以上で中等リスク、II度高血圧以上で高リスク
リスク第1層(危険因子なし):I度高血圧以上で低リスク、II度高血圧以上で中等リスク、III度高血圧以上で高リスク
低リスクなら3ヶ月以内の指導でも140/90以上なら降圧薬開始
中等リスクなら1ヶ月以内の指導でも140/90以上なら降圧薬開始
高リスクなら直ちに降圧薬開始

当直メモ・薬剤メモ・各種文書の書き方 2019/12/3更新済み後全掲載1

当直メモ・薬剤メモ・各種文書の書き方 2019/12/3更新済み後全掲載1

<当直メモ 目次>
中年以降の突然発症の激痛
急性薬物中毒
骨折
胸痛
胸部大動脈解離の除外
肺塞栓の除外
心電図のpitfall
腹痛
上腹部痛
右季肋部痛
左季肋部痛
右下腹部痛
左下腹部痛
下腹部痛
腹部全体痛
臍の痛み
腰痛
頭痛
髄膜炎
ステロイド力価
頚部痛
軽症頭部外傷
意識障害
TIA
での入院基準
頭部MRIの見方
血糖値とNaの関係
失神
弁膜症の手術適応
痙攣
眩暈
ふらつき
呼吸困難(SpO2の低下)
人工呼吸器について
血ガスについて
嘔吐
急性胃腸炎
下痢
吐血、下血、血便
便潜血について
吐血で緊急内視鏡適応でない場合
過換気症候群
不眠症
頸椎捻挫
高血圧
鼻出血
かぜ
妊娠中のインフルエンザについて
咽頭痛
尿管結石
発熱
敗血症性ショック
蕁麻疹
動悸
Af
での抗凝固療法開始基準
頻脈性不整脈の鑑別
徐脈
蜂窩織炎/壊死性筋膜炎
裂創/切創
爪の外傷
動物咬傷
指趾切断
多発外傷
熱中症
しびれ
こむらがえり
臀部痛
粉瘤
異物
気道異物
鼠径ヘルニア
肩こり
肘内障
顎関節脱臼
関節痛/骨痛
義歯誤飲
熱傷
慢性咳嗽
歩行障害
呂律困難
麻痺
体重減少・食思不振、いつもと違う
血算の異常
CPA
高血糖
自己抜去(PEG/フォーリー/胃管/気管カニューレ)
脂質異常
糖尿病
入院させた後に気をつけること
胸腔ドレーンの入れ方
中心静脈留置カテーテルの入れ方
ステロイドテーパリングの方法
CF
GFで癌が見つかった時のムンテラ
針刺し時の血液検査
CT
の読み方
イレウス管留置方法
CF
のフォローアップ期間
結核の診断と結核が見つかった時の対応
ポリペク後の抗血小板薬の再開時期
間質性肺炎の分類と治療
ウィルス性肝炎の治療
胃炎の京都分類
インスピロンの設定について
内視鏡時の抗凝固薬、抗血小板薬の取り扱い
輸入感染症
調理師の便培養陽性
経口投与抗生剤のバイオアベイラビリティ
脂肪肝
PEG
患者の嘔吐
健診で尿潜血陽性が出た場合
内視鏡の肉眼分類
胃瘻交換
終末期の予後予測ツール
酸素指示
浮腫の原因
PSA
について
IVH
後に肝機能異常をきたした場合
CEA
軽度上昇について
カテ熱(CRBSI)について
ワクチンについて
ペースメーカー植え込みや胃瘻患者の死後対応
医療区分について
感染対策(インフルエンザ、ノロ、MRSAなど)
梅毒検査について
免疫抑制、化学療法開始時のHBV再活性化リスク評価について
悪性症候群について
S
型アミラーゼ上昇時の鑑別
胃癌のABC検診
ALP
高値について
CD
関連腸炎での隔離の方法と隔離解除について
療養病院での肺炎、心不全管理
療養病院でのIVH管理まとめ
終末期で高Na血症なのに浮腫や胸水が生じる理由
終末期で痰詰まりによる死亡の場合の死亡診断書やICについて
繰り返す水疱
人工呼吸器アラーム対応
高齢者の強い皮膚掻痒感/かゆみ
抗生剤のMICについて
尿量減少時の対応
生食ロックとヘパリンロック
潜在性甲状腺機能低下症
CV
ポートで点滴漏れが生じたとき
健診でγGTPのみ上昇している場合
半減期と投与間隔
HTLV-1
について
ダイエット薬について
ED
について
AGA
について

中年以降の突然発症の激痛

<中年以降の突然発症の激痛>
突然発症の背部、腹部、下腹部の激痛は血管病変をまず考え、造影CTを行う。
中年、高血圧、喫煙歴、抗癌療法中の背部痛では、まず大動脈解離を否定する。
解離はまず除痛と降圧。除痛はソセゴン(ペンタゾシン)を痛みが止まるまで10A(1A15mg/1ml)まで頻回投与。降圧はラジストン(ニカルジピン)1/1mlを頻回静注、ニカルジピン10mg10ml2Aを生食20mlに溶いて5ml/hrから持続投与開始。
既往なければ、除痛と降圧しながら、すぐに造影CTに行くこと。激痛=痛い痛いとずっと言っている状態。
突然の激痛の例
・突然の頭部の激痛+Cushing sign+意識障害SAH(SAHCPAになることあり!!心電図変化も来る! !)・突然の背部の激痛+収縮期200以上+喫煙歴⇒大動脈解離
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒腹部大動脈破裂
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+Af/HD⇒SMA塞栓症
・突然の下腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒総腸骨動脈瘤破裂
☆”
裂ける痛み”や”移動する痛み”と言う場合は少ない。”イタイ、イタイ”と唸っていて、冷や汗を伴って、応答もきちんとできない、意識混濁の場合が多い。
cf)StandfordB
型解離の手術適応:
 
片肺換気、肺切除も伴うのでそもそもriskの高い手術であり、内科的治療の方が成績が良い。
破裂したとき、②偽腔に流入があり55㎜以上で破裂の危険性大(瘤は60㎜以上だが解離あれば5㎜マイナス)、③CA/SMA/IMA噛んでる時(腎動脈噛んでるときは大抵片側であり後腹膜操作となりrisk大なので緊急手術にならない)

急性薬物中毒

<急性薬物中毒>
基本は、輸液(ラクテック120ml/hr程度)でwash out
薬剤による腎障害、肝障害の可能性、嘔吐による誤嚥性肺炎の可能性を説明する。
意識障害なければ活性炭をすぐに飲んでもらう。
意識障害あれば、気管挿管せずに活性炭を投与するのは禁忌(活性炭肺炎はARDS起こして予後不良)。
透析適応はI stumbleで覚える
(isopropranorol,salicylate,theophyline,uremia,methanol,barbiturate,βblocker,litium,ethyleneglycol)

血中アルコール濃度(mg/dl)の推定は、OSM(mosm/L,mmol/L)=2Na+BS/18+BUN/2.8+C2H6O/4.6から計算できる(血中濃度0.3g/dl,0.3%を超えると昏睡)
痙攣発作+アシドーシスあれば三環系抗うつ薬疑う→メイロン,活性炭の繰り返し投与しないとCPA起こすことあり。
トライエージで判明する薬剤はアンフェタミンメタンフェタミン大麻、コカイン、ベンゾジアゼピン、バルビツール、三環系抗うつ薬、フェンシクリジン、オピオイドアンフェタミンメタンフェタミン感冒(エフェドリンなど)や麻黄で偽陽性になることあり。オピオイドはリン酸コデイン(感冒薬含む)偽陽性になることあり。

骨折

<骨折>
基本的に緊急性は低いのでシップとギプス包帯で固定し、翌日の整形外科受診を指示する(顔面なら口腔外科受診)。
開放骨折、血流障害、神経障害あれば即日整形受診すること。また、小児も顆上骨折や足関節の骨折は皮膚障害を起こすこともあり、即日整形受診を。
次のことを説明する。
 
 ・レントゲンで見えない骨折もあるが今は時間外で人手が足りず詳しい検査ができにくいこと
 ・荷重がかかってずれてきて初めてわかる骨折もあること
 ・小児は骨化が進んでいないため骨折が見えないことがある
レントゲンで自発痛、圧痛、叩打痛があるところを入念に見る(前後上下も)
肋骨骨折を探すときは必ず胸部正面も撮影し、血胸がないか見ること。
上腕の外旋時痛は上腕骨頚部骨折の可能性あり。
下顎骨は脱臼あればすぐに整復する。顎関節の左右差ないか見て、脱臼無く2横指開口できれば後日口腔外科受診を指示。
小児の肘の骨折は4方向+両側、関節周囲の脂肪組織の盛り上がり(fat pad sign)あれば骨折
外顆骨折は転位強ければ整形call。上腕骨遠位端の骨化は外(1)→最内(5)→(10)
壁を殴って中手骨骨折→転位を直してからMPを曲げてPIP/DIPをまっすぐにして固定する。
開放骨折、神経障害、血流障害あればすぐに整形callを。
☆CT
の骨条件なら骨が重なり合うところの骨折が良く分かる(膝関節、足関節、手関節、頚椎、骨盤、頭蓋骨、頬骨、下顎骨など)
顔面の骨折は髄液漏や神経所見なしなら後日口腔外科受診を指示。
転位のない骨折はソフトシーネやオルソグラスで固定し、後日整形外科受診を指示。
脱臼(転位)、感覚運動障害、血流障害(5P症状)あればすぐに整形外科call
☆5P
症状のない開放骨折はとりあえず創閉鎖し、後日整形外科受診を指示。
拘縮、麻痺がある場合の骨折対応(療養病院での骨折対応)
・末梢の動脈の拍動を確認。
・受傷原因の精査(多くは体転時に無理な姿勢になり自重が加わり、関節拘縮があり外力の逃げ場がないためと思われる)。
・麻痺、拘縮があれば手術適応はなし。
・患肢を正常位に戻して、湿布を貼り弾性包帯を巻いておく。あまり強く巻きすぎないこと。末梢動脈の拍動を確認する。末梢動脈にマジックで印をつけて、包帯交換時に拍動を必ず確認してもらうこと。
・院内に整形外科医がいない場合は、整形外科を受診するかを家族に聞く(麻痺、拘縮がある場合は手術適応にはならないことを伝え、転位しているので保存的に診た場合は骨折したままであること、痛みの程度、血管損傷はないことetcを説明する)。ムンテラの結果、整形外科は受診せずに院内でできる範囲で対応を希望されれば、その旨を必ずカルテに記載しておく。

胸痛

<胸痛>
高齢者の心筋梗塞、半分は無痛性。なんとなく元気がない、AST,ALT上昇、血圧低下など見られたら必ず心電図を。
喫煙歴or高血圧or中年以上男性で、以下3つのうちどれかを訴えた場合は、必ず心電図を!
 ・右でも左でも胸の痛み(しめつけられる、むかむかする、押さえつけられる)
 ・運動時痛のように見える右でも左でも両側でも肩の痛み
 ・嘔気または気分不良
ST
変化は隣接する誘導で1mm以上であれば有意とする。
胃痛か狭心痛か判別できない時(ST1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。
突然生じた両側肺水腫を見たら、心筋梗塞を念頭に置くこと!!!
狭心痛で採血、心電図、心エコーが正常なら、冠動脈造影のために後日循環器受診してもらうために紹介状を書くこと。
まず心電図とモニターを装着し、胸写をとる。明らかなST変化あれば直ちに循環器call
胸痛あるのに、ST変化なければ、見逃すと危険な胸部大動脈解離、肺塞栓、緊張性気胸、食道破裂を除外する。
 
 ・胸部大動脈解離ないか見るために、胸写や造影CTを行う。pCTでもdencityの違いや大動脈内の石灰化で解離がわかることがある。
 
 ・肺塞栓ないか見るために、下肢の把握痛ないか、SpO2の低下(90%前後であることが多い)、危険因子(下肢静脈瘤1か月以内のフライト、寝たきり、喫煙、肥満、ピル、骨盤手術)を探す。PEによる右心不全があれば心電図変化(胸部誘導でのnegativeT)や右室拡大(UCG/CT)、D-dimer上昇を認める。
 ・,Ⅲ,aVfST変化ある下壁梗塞では徐脈になりやすい。 
 ・ショックバイタルなら緊張性気胸も頭の片隅に入れる。ショックバイタル、気管偏位、片側呼吸音低下なら緊張性気胸として、両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
 
 ・食道破裂(Boerhaave症候群)は頻回嘔吐の後に起きる、胸写やCTで左胸水あり。
胸痛と共に、1mm以上のST変化やCRP伴わない白血球上昇あればミオコールスプレー1回噴霧、抗血小板薬3剤(バイアスピリン100mg,プレタール(シロスタゾール)100mg,アンプラーグ(サルポグレラート/5-HT2遮断薬)100mg)を2 錠ずつ噛み砕いてもらい、採血でCPK,CKMB,TropT/I,ラピチェック(H-FABP)を測定し、心エコーで壁運動の低下の有無、EF、心嚢液貯留ないか見る。
症状消失し、VSAの時はニトロペン舌下錠0.3mg3回分処方し、後日循環器受診を指示。
PCI
1年以内に再狭窄がくることは稀。PCI後に不安になって架空の胸痛で受診する人が多い。
☆CKMB
上昇はCPK1割以上でないと有意にはとれない。TropT/IACS,uAPの他、心不全,腎不全でも陽性になる(自然崩壊のTropT/Iが排泄されないため)。
食後であれば胆石発作とGERDの除外する。
痩せ型長身の若年男性では自然気胸かも。
冷や汗、激痛で何もない人もいる(精神疾患や以前の受診歴をチェックする)。
肋間神経痛は肋骨下端を触診する。肋軟骨炎(Tietze症候群)、剣状突起炎、大胸筋筋肉痛なども胸痛きたす。
感冒様症状が続き、その後CPK↑TropT↑壁運動低下あれば心筋炎か(心筋炎で心拡大はこない)。
他に誘因や症状なくEF低下とLVDd拡張であればDCM
☆Af tachycardia
PSVTによる動悸を胸痛という人もいる。
変な心電図は以前の分を取り寄せて比較する(ST変化なくても新たに生じた脚ブロックはACSの可能性大)。
心筋梗塞の超急性期の心電図を見逃さないこと!!


胸部大動脈解離の除外

cf)胸部大動脈解離の除外
 
 ①CXRで上縦隔の拡大(8cm以上)
 
 ②血圧の左右差
 
 ③移動する背部痛
 
 3項目全てが除外されれば大動脈解離がある可能性は7% ・CXRで大動脈外縁と石灰化の距離が6mm以上であれば解離を疑う
 ・大動脈解離の99%以上でD-dimer0.5μg/ml以上になる(感度99%以上)
 
・ただし、D-dimer0.5μg/ml以下でも半分は大動脈解離の可能性がある(特異度は50%弱)
注)胸部大動脈解離、腹部大動脈瘤、肺塞栓を除外する一番は造影CT。しかし腎障害がある場合は、検査前に300ml心不全あるときは150ml)生食をボーラス投与し、検査後は1ml/kg/hr12時間生食投与。造影剤は50-100mlにする(ヨード含有量が300mg/dlの造影剤の場合)

この記事の感度・特異度の解釈が間違っていると思うのですがいかがでしょうか。
D-dimer0.5μg/ml以下でも半分は大動脈解離の可能性がある(特異度は50%弱)」とありますが、特異度50%というのは「大動脈解離がない人でもD-dimer<0.5μg/mlとなる人は50%」つまりD-Dimer高値でも大動脈解離とは限らないという意味です。
また、感度99%以上とは対偶を取ると「D-Dimer<0.5μg/mlであれば大動脈解離である可能性は1%未満」となり、D-Dimer低値であれば大動脈解離はほぼ否定できるという意味です。

肺塞栓の除外

cf)肺塞栓の除外
 
 ・Wells criteria  下肢腫脹or下肢把握痛 3
 
  肺塞栓以外に考えられない 3
 
  心拍数が100以上 1.5
 
  過去4週以内に3日以上の臥床or手術 1.5
 
  DVT/PEの既往 1.5
 
  血痰 1
 
  過去半年以内のがん 1
 
 ・DVTの可能性
 
  Wells criteria    6> 2-6 >2   d-dimer陽性 50% 20% 5%          陰性 10% 1% 0.5%


心電図のpitfall

cf)心電図のpitfall  ・ST変化は基本は2㎜以上
 
 ・下壁梗塞ではreciprocal change70%で見られる(特にaVLST低下)
 
 ・下壁梗塞を見たら右側誘導(左にある胸部誘導をすべて右に対称移動)で右室梗塞がないかを見る
  →特にⅢのST上昇が高いときは右室梗塞疑う
  →右室梗塞があれば上行大動脈の解離を探す(StandfordAではRCAを噛みやすい)
 
 ・V1-3ST低下とR増高あれば後壁梗塞を疑って、背中の誘導も(V7-8)。
 
 ・LAD狭窄ではV1-4T波が上がって、下がっての2峰性
 
 ・良性早期再分極(benign early repolarization)では①若い人、②V2-5ST上昇、③四肢誘導のみは稀、④経時変化なし、⑤ミラーイメージなし
  ・心外膜炎ST上昇もイラーイメージなし。ⅡⅢaVfPRが基線より下があれば心外膜炎
 
 ・高KのテントTは左右対称でツンツン、頻脈/除脈→T波増高→wideQRS  ・中枢神経病変ではV1-4で巨大陰性T(giant cerebral T)  ・RBBBV1M字型+ウサギ耳型陰性T
 
 ・LBBBV6M字型+ウサギ耳型陰性T
 
 ・脚ブロックのときはST変化評価できない→新たに脚ブロックが出たときは虚血疑う。
 
 ・PEではSⅠQⅢTⅢが有名だが、V1-3negativeTの方が有用→心エコーで右室拡大ないか見る→あれば胸部造影CT
cf
)健診で偶然見つけた場合に循環器紹介が絶対必要な波形



腹痛

<腹痛>
アシドーシス、ブスコパン無効の腹痛、痛い痛いと言い続けている(発症6時間以上)、痛くて体を動かせない、腹壁が固い、腸雑音が低下ないし減弱のうち2つ以上あれば、腸管壊死の可能性が高い。絶対に外科コンサルトを行う。
若年者の腹痛では、急性虫垂炎、子宮外妊娠(妊娠反応陰性の外妊破裂などありえない)、絞扼性腸閉塞(closed loopを示唆するbeak sign/gaslessな小腸拡張/腹水/腸管膜の造影)、鼠径ヘルニア陥頓は絶対に見逃さないようにする。
どんなに若くて元気そうでもniveauあればNG挿入し入院させる(free airと同じくらいniveauは危険なものである)
腸管壊死や血栓は単純CTでウィンドウレベル(WL)60/ウィンドウ幅(WW)40にするとよくわかる(SAHWL/WWとも35)。出血はL40/W250free airL-600/W1500でよくわかる。
腹痛は、部位、年齢、血便血尿の有無、危険因子(喫煙/飲酒/ワーファリン/Af/外傷)を聞く。
腹部診察では、鼠径部の膨隆がないか見る。
腹単と検尿を必ずすること。
腹痛では、尿検査は必須。膵炎なら尿中アミラーゼ上昇、DKAなら尿中ケトン体陽性、胆道閉塞なら尿中UBG陰性(正常は±)、急性肝炎は尿bil陽性、尿管結石なら尿中赤血球5/HPF以上、子宮外妊娠なら妊娠反応陽性、PIDなら尿中白血球5/HPF以上。

上腹部痛

<上腹部痛>
 
 ・若年⇒急性虫垂炎の可能性を念頭に。
 
  ①喫煙/NSAID/ストレスあり
   AGMLか慢性活動性胃炎かも⇒ひどい時はオメプラール20mg 1Vを生食100mlに溶かして30分かけて静注し、ランソプラゾール(タケプロン)15mg2錠朝食後7日分を処方し経過見る。H2blockerは内服後23時間で十分な胃酸分泌抑制、PPI23日後に強力な胃酸分泌抑制効果(→即効性を期待するならH2blocker)。
 
  ②発熱あり
   急性虫垂炎の前駆症状かも⇒採血と腹部エコーするか、ひどくなければ右下腹部痛になってきたらすぐに来院するように指示。特に関連痛が示唆されるとき(漠然とした痛み、倦怠感強い)。急性虫垂炎初期は右下腹部痛はないこともあり、あっても軽度で鈍痛。しかし100%食欲なく、倦怠感も強い。
 
  ③月経不順あり
   Fits-Hugh-Curtisかも⇒下腹部痛から半月程して上腹部痛きたす。排尿時痛ないか聞く、検尿検査、クラミジア感染ないか抗体チェック。クラビット100mg5錠分15日分処方し、後日、婦人科受診を指示。
 
  ④嘔気や嘔吐あり
   ブ菌性食あたりかウィルス性胃腸炎初期⇒ミヤBM3g3を処方し経過見る。水溶性下痢がなければウィルス性胃腸炎とは断定できない。他の上腹部痛の原因がないことを確認する。
 
   DKAかも⇒尿中ケトン体、デキスターをチェック。
 
 ・中年⇒AOSCの可能性を念頭に。
 
  ①喫煙/NSAID/ストレスあり
   胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍かも⇒体重減少の有無を聞く。PPI処方し、必ずGIF予約。 
 
  ②肥満あり
   GERDかも⇒PPI処方とGIF予約。腹単で食道裂孔ヘルニアが分かることも。
 
  ③喫煙/HTN/HL/DMあり
   まずACSを否定する。
   ST変化は隣接する誘導で1mm以上であれば有意とする。
   ☆胃痛か狭心痛か判別できない時(ST1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。
 
 ・老人
 
  ①ワーファリン/バイアスピリン/プラザキサ:
 
   出血性胃潰瘍かも⇒頻脈やふらつき/気分不良あれば、レクタールをして黒色便や便潜血ないかチェックする。何もなければPPI処方して、GIF予約。 
 
 ・右季肋部痛や左季肋部痛を上腹部痛と言っていることがある。特に飲酒歴や喫煙歴がない場合(胆石発作や総胆管結石初期の見逃しが多い。胆嚢炎やAOSCなら発熱あり気づくが。単純CTと採血は推奨)。


右季肋部痛

<右季肋部痛>
 
 ・上腹部痛と訴えることがある。
  ・中年
 
  ①肥満女性+食後発症
 
   胆嚢炎かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。急性胆嚢炎で発症72時間以内なら早期ラパコレ(腹腔鏡下胆嚢摘出術)。痛みが軽度で、SIRS徴候や採血でCRPWBC上昇が軽度なら翌日外科受診を指示。炎症もなく胆石だけなら胆石発作(GBcolic)かも(→心窩部痛=上腹部痛=胃痛を主訴で来院のことあり)。
 
  ②食後発症:
 
   総胆管結石かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。AOSCを見逃したくないので、SIRS徴候や直接ビリルビン上昇あれば入院を。結石がなく、痛みも消失したならpassing stoneかもしれない。EST後は胆管内airや胆管拡張があることが多く、逆行性感染もあるので、胆汁排泄促進のウルソ、腸管蠕動促進のガスモチンを処方するとよい。
 
  ③過度の飲酒歴
 
   急性肝炎かも。採血でGOTGPTを測定。200を超えてくると危ないので入院。肝細胞癌は痛くない。
 
 ・胆管炎:炎症反応↑+胆道系酵素↑、しかしT-BiL↑なし
     AOSC
:炎症反応↑+胆道系酵素↑+T-BiL↑    胆嚢炎:炎症反応↑+CTやエコーでの胆嚢周囲の毛羽立ち(胆道系酵素T-BiL↑はないことが多い)。胆泥により一時的にT-BiL上昇あり(もしくはpassing stoneか)
 
 ・ID-BiL優位の黄疸は溶血か血栓抗癌剤使用中の門脈血栓/SMV血栓が多い)
   
TACE後、RFA後、ERCP後に疼痛、発熱あるのはよくある。


左季肋部痛

<左季肋部痛>
 
 ・上腹部痛と訴えることがある。
 
 ・中年
 
  ①過度飲酒歴or腹部外傷歴or総胆管結石orTG高値:
 
   急性膵炎かも⇒造影CTと採血をする。(1)膵臓腫大(周囲の脂肪織の炎症像)、(2)上腹部痛or左季肋部痛、(3)AMY上昇のうち2項目で膵炎と診断される。小児は腹部打撲、男は酒、女は石の病歴を必ず聞く事。CTで膵腫大あっても周囲脂肪組織の炎症像なければ急性膵炎とは言えない
(膵石灰化は逆に慢性膵炎のサイン)。輸液はラクテック160-250ml/hr、メロペン1g生食100mlに溶いて30分で投与を12回、痛み強いのでソセゴン1A i.v.もしくはオピスタン35mg4Aを生食20mlに溶いて1ml/hr、レペタン0.2/1mL 12A0.5ml/hrから開始、採血して腎機能問題なければ造影腹部CTを。
  ・ワーファリンコントロール不良
   脾梗塞ないか腹部エコー、造影CTする。


右下腹部痛

<右下腹部痛>
痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水があれば絞扼性腸閉塞にまではなっていない捻転や絞扼かも。腸管の細くなっているところを探すこと!
 
 ・若年
 
 ①発熱あり
  急性虫垂炎⇒造影CTを。盲腸の拡張+小腸拡張あれば麻痺性イレウスで穿孔の可能性あり。free airや腹水もチェックする。Migration of pain(1点),Anorexia(1),Nausea(1),Tenderness inRLQ(2),Rebound(1),ElevatedBT(1),Leukocytosis(2),Shift(1)とし、7点以上なら感度93%特異度85%虫垂炎
 
 注意)保存的療法での虫垂炎切除術を要する累積再発率は、1年、2年、3年、5年追跡時でそれぞれ9%、12%、12%、13%であり、8年後の虫垂切除術の未実施率は86±1.3%であった。
 
 ②尿潜血陽性
 
  尿管結石かも⇒単純CTで結石の大きさを調べる。8mm以下なら自然排石を待つ。それ以上なら翌日泌尿器科受診を指示。
 
 ③妊娠反応陽性
 
  子宮外妊娠かも⇒腹部エコーとともに婦人科call。腹部エコーは排尿の前にしないと見えにくい。高感度妊娠反応が陰性なら外妊が否定できるわけではないが、緊急性は少ない。23日後の妊反でも陰性ならほぼない。妊娠反応陰性の外妊破裂などありえない(妊娠反応が陰性な段階の大きさの受精卵が原因で卵管破裂しないという意味)
 
 ④月経不順
 
  PID(卵巣炎)かも、排卵時痛か?
       cf)
女性で骨盤内に盲端のabscessに見えるものがあれば、子宮留膿腫や卵巣膿瘍や卵巣嚢腫を考える。
  ⑤若年女性で七転八倒する激痛
 
  卵巣茎捻転かも⇒卵巣が30㎜以上で造影不良と周囲の濃度上昇、卵管の一部狭窄
 
 ・中年、老人
 
 ①発熱あり
   急性虫垂炎かも
  ②尿潜血陽性
 
  尿管結石かも
  ③尿潜血陽性+Af/透析中
 
  腎梗塞かも⇒造影CT  ④血便あり
   憩室炎(発熱+腹痛)、憩室出血(腹痛なし、ワーファリン内服あり)か虚血性腸炎(軟便→下血のパターン、腹痛もあり)かも
  ⑤高血圧や喫煙歴あり
  右総腸骨動脈瘤破裂かも
<女性の右下腹部痛>
・妊娠反応陰性+卵巣腫大(3-4cm以上)+骨盤内血性腹水(30HU以上)→黄体出血
・妊娠反応陽性+骨盤内血性腹水(30HU以上)→子宮外妊娠
・片側の卵巣腫大(多くは6cm以上)→卵巣茎捻転
cf)
・左(右)卵巣からの出血でも右(左)下腹部と訴えることもある。
・単純CTでもhighに見える腹水は血腫。
・増殖期(1-2週間)→排卵黄体期2週間/体温上昇)→月経
排卵時に少し出血したり痛みがあることもある(卵胞出血、排卵時痛)。
・黄体は正常でも3-4cmになることがある。
・卵巣出血は排卵時の卵胞出血か、黄体期中期(最終月経初日から20日)の黄体出血が多い。
・黄体出血は左側はS状結腸がクッションになるので右側に多い。経過観察で自然出血することが多い。
・妊娠反応陽性なら子宮外妊娠が多い。出血性ショックになることもある。救急搬送が必要。
・月経周期について
 増殖期は約14日だが個人差あり、黄体期は全員14
 内膜:増殖期①②→分泌期③④→月経⑤
 卵巣:卵胞期①②→黄体期③④
 ①FSH↑により卵胞発育→卵胞周囲の顆粒膜細胞からE分泌
 ②E↑↑→GnRH↑↑→LHサージ→排卵E↑により子宮内膜機能層増殖
 ③排卵後の卵胞が黄体になり、P分泌
 ④P代謝亢進(体温上昇)、子宮内膜機能層増殖をstop&保持
 ⑤黄体が白体化しP↓、子宮内膜機能層剥離(月経)


左下腹部痛

<左下腹部痛>
痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水があれば絞扼性腸閉塞にまではなっていない捻転や絞扼かも。腸管の細くなっているところを探すこと!
 
 ・若年
 
 ①便が何日も出ていない
   便秘かも⇒腹単で便貯留確認。フォルセニド2T1寝る前、重症時はマグラックス3306錠分3(カマグは腎不全には禁忌)、ラキソベロン10滴を水で薄めて寝る前、レシカルボン坐薬15回分処方し帰宅。激痛のこともあるが、排便で消失する。
 cf)風邪薬で便秘になることがある。冬に毎年便秘になるならそうかも!
 
 ②尿潜血陽性
 
  尿管結石かも⇒単純CTで結石の大きさを調べる。8mm以下なら自然排石を待つ。それ以上なら翌日泌尿器科受診を指示。
 
 ③妊娠反応陽性
 
  子宮外妊娠かも⇒腹部エコーとともに婦人科call。腹部エコーは排尿の前にしないと見えにくい。高感度妊娠反応が陰性なら外妊が否定できるわけではないが、緊急性は少ない。23日後の妊反でも陰性ならほぼない。妊娠反応陰性の外妊破裂などありえない。
 
 ④月経不順
 
  PID(卵巣炎)かも
       cf)
女性で骨盤内に盲端のabscessに見えるものがあれば、子宮留膿腫や卵巣膿瘍や卵巣嚢腫を考える。
  ⑤若年女性で七転八倒する激痛
 
  卵巣茎捻転かも
 ・中年、老人
 
 ①尿潜血陽性
 
  尿管結石かも
  ②血便あり
   憩室炎(腹痛あり)、憩室出血(腹痛なし、ワーファリン内服中など)か虚血性腸炎(軟便→下血のパターン、腹痛あり)かS状結腸捻転(腹単でcoffee beanないか見る)かも。腹痛が治まっていないなら造影CTを。憩室があっても周囲の炎症像がなければ憩室炎とは言えない。憩室も捻転もなければ虚血性腸炎だったのかも。
 
 ③尿潜血陽性+Af/透析中
 
  腎梗塞かも⇒造影CT  ④怒責をきっかけに発症
   S状結腸穿孔かも(腹壁ソフトな場合も多い)→CTでのS状結腸周囲のfree airを見つけること。
      cf)
排便時の怒責をきっかけに生じた下腹痛が典型症状。もともと便秘や憩室がある場合が多いが、大腸癌が背景にある場合が多い。腹部が硬いとは限らないことも注意。高齢者に多いので同時に腹部大動脈瘤を認める場合もあるが、血栓閉塞型やextravasationないときは大腸穿孔を見逃さないこと。
  ⑤高血圧や喫煙歴あり
   左総腸骨動脈瘤破裂かも
 
<女性の左下腹部痛>
・妊娠反応陰性+卵巣腫大(3-4cm以上)+骨盤内血性腹水(30HU以上)→黄体出血
・妊娠反応陽性+骨盤内血性腹水(30HU以上)→子宮外妊娠
・片側の卵巣腫大(多くは6cm以上)→卵巣茎捻転
cf)
・左(右)卵巣からの出血でも右(左)下腹部と訴えることもある。
・単純CTでもhighに見える腹水は血腫。
・増殖期(1-2週間)→排卵黄体期2週間/体温上昇)→月経
排卵時に少し出血したり痛みがあることもある(卵胞出血、排卵時痛)。
・黄体は正常でも3-4cmになることがある。
・卵巣出血は排卵時の卵胞出血か、黄体期中期(最終月経初日から20日)の黄体出血が多い。
・黄体出血は左側はS状結腸がクッションになるので右側に多い。経過観察で自然出血することが多い。
・妊娠反応陽性なら子宮外妊娠が多い。出血性ショックになることもある。救急搬送が必要。
・月経周期について
 増殖期は約14日だが個人差あり、黄体期は全員14
 内膜:増殖期①②→分泌期③④→月経⑤
 卵巣:卵胞期①②→黄体期③④
 ①FSH↑により卵胞発育→卵胞周囲の顆粒膜細胞からE分泌
 ②E↑↑→GnRH↑↑→LHサージ→排卵E↑により子宮内膜機能層増殖
 ③排卵後の卵胞が黄体になり、P分泌
 ④P代謝亢進(体温上昇)、子宮内膜機能層増殖をstop&保持
 ⑤黄体が白体化しP↓、子宮内膜機能層剥離(月経)


下腹部痛

<下腹部痛>
痛みの部位に一致する腸管の狭窄/狭小化と口側の軽度拡張、少量腹水があれば絞扼性腸閉塞にまではなっていない捻転や絞扼かも。腸管の細くなっているところを探すこと!
 
 ①尿が出るがチョロチョロしか出ない
   尿閉かも⇒腹部エコーで尿貯留を確認し、導尿。必要なら尿道カテーテル留置し、翌日泌尿器科受診を指示。
     cf)
前立腺断面のサイズ
       左右径35mm、前後径20mm、上下径25mm程度が正常上限。
   cf)風邪薬で尿閉になることがある。冬に毎年尿閉になるならそうかも!
 
 ②精神科にかかっている
   尿閉かも
cf)
若年女性なら排卵時痛や子宮筋腫を除外すること。
     ③
怒責をきっかけに発症
   S状結腸穿孔かも(腹壁ソフトな場合も多い)→CTでのS状結腸周囲のfree airを見つけること。
      cf)
排便時の怒責をきっかけに生じた下腹痛が典型症状。もともと便秘や憩室がある場合が多いが、大腸癌が背景にある場合が多い。腹部が硬いとは限らないことも注意。高齢者に多いので同時に腹部大動脈瘤を認める場合もあるが、血栓閉塞型やextravasationないときは大腸穿孔を見逃さないこと。
  ④高血圧や喫煙歴あり
  腹部大動脈瘤切迫破裂かも(造影でも瘤部分highにならない場合は血栓閉塞型。S状結腸穿孔の可能性も考えること)


腹部全体痛

<腹部全体痛>
・ブスコパン無効な痛み、体位変換できない痛みは腸管壊死/解離の可能性あり造影CTが必要。
  ①頻回嘔吐+手術歴
 
   腸閉塞⇒手術歴がない場合は鼠径部を必ず見ること。
     cf)
腸閉塞
 
    ・便秘による腸閉塞は滅多にない(浣腸は禁忌)。結腸の腸閉塞は大腸がんのサイン。
 
    ・麻痺性イレウスと腸炎の区別は難しい。
   ・エコーで拡張腸管の蠕動がないこと、腹水があること、gaslessな拡張があることなどが絞扼性を疑う。
 
    ・閉塞性、癒着性、絞扼性にしろ閉塞起点があるはず(閉塞性は腫瘍や腸重積、癒着性は索状物によるbeak sign、絞扼性は腸捻転など)。なければ麻痺性(SMA塞栓症、虫垂炎PID、穿孔)となるが、全体的に腸壁の肥厚が見られれば腸炎腸炎による麻痺性イレウスとも考えられる)
   ・絞扼性が否定的なら、イレウス管を十二指腸内に留置し、パントール20-100mgを点内に入れて持続投与すれば蠕動でイレウス管が進むので小腸内の減圧はできる。時折イレウス管の位置を腹単で確認する。大腸癌による閉塞の場合は、CFでステントを留置し、排便させて食事摂取を早めに行わせること。早期からのリハビリも重要。
   ・癒着性イレウスに対し、NGチューブから胃内容物を吸引した後に、ガストログラフィンを50-100ml注入し、6-24時間後に撮影し、右横行結腸に造影剤が認められれば、感度92%、特異度93%で手術治療なしで治療可能と判断できる。
     cf)
腸重積の原因:大人は腫瘍、子供はMeckel憩室、Peutz-Jeghersなど。腸重積は乳幼児だけの疾患ではない!!
   ②
板状硬
 
  消化管穿孔かも⇒造影CTして、free airや腹水貯留ないか見ること。上部消化管穿孔でのNG留置は愛護的に行い、airも少量で確認すること。あまり勢いよく長い距離挿入したり、airを多く入れ過ぎると穿孔を増悪させるので注意。下部消化管穿孔は腫瘍、憩室の他に老人では誘因なく起こる(便秘でいきんだ後に憩室が穿孔起こすことあり)。
     cf)
腸管穿孔を見逃さないためにairを強調するWL(WC)80WW1200くらいに変更して見るとよい。初期は腸管壁に沿ってfree airが見られることが多い(WL:window level,WC:window center,WW:window width)
 
 ③腹部軟+喫煙/高血圧
 
  腹部大動脈瘤破裂かも⇒腹部エコー、造影CT
     cf)
腹部大動脈瘤の切迫破裂や破裂は腹部の筋性防御はみられない。筋性防御はまず腸管穿孔を考えること。
     cf)
腹部大動脈瘤破裂について
      
・腰痛を初発とする腹部大動脈瘤破裂は比較的慢性的な経過を取り見逃しやすい。
      
・体動によらない腰背部痛、血圧低下、嘔吐は腹部大動脈瘤破裂or切迫破裂の徴候。
      
closed rapture(破裂による出血が後腹膜腔にとどまった状態)ではタンポナーデ効果によって一時的に出血が抑えられ、血圧が回復することがある。ショック+嘔吐で来院し血圧回復の場合、迷走神経反射と勘違いしAAAを見逃しやすい!
     cf)
腹部大動脈瘤
 
     ・大動脈瘤は腹部大動脈3cm以上もしくは正常の1.5倍以上
 
     ・胸骨下端から臍までが腹部大動脈、胸骨下端と臍の間に腎動脈
 
     ・触診するときは腎動脈より上か下かが重要、5cm超えても4人に1人は触知しない、3-4cm30%程度が触知
    
 ・有病率5%      ・破裂すると半分がその場で死亡、病院に到着しても半分が死亡
 
     ・危険因子は喫煙、高血圧、家族歴
 
     ・破裂リスク:
 
      ①紡錘状よりも嚢状の方が破裂リスク大
 
      ②3-4cmでは年間2cm4-5cmでは年間3cm5cm以上は年間5cm以上進行する
    ③破裂のリスクは、4cm:1.5%/年、5cm:6.5%/年、6cm:10%/
      ・経過観察の目安
 
      4cm以下なら年1回、4-5cmなら年2回、5cm以上なら専門医コンサルト(無症状でも)
 
 ④腹部軟+Af/透析
 
  SMA塞栓症かも⇒造影CTAf患者の腹痛は絶対に疑うこと。


臍の痛み

<臍の痛み>
 腹部手術後であれば、尿膜管の膿瘍の可能性あり。悪臭のある汁が出ていないか注意してみること。


腰痛

<腰痛>
片側性によるものは尿管結石を考慮。腰痛と同側の股関節の鈍痛は腎盂腎炎による放散痛のことあり。
稀に帯状疱疹のこともあり。水疱に先行して痛みが出ることがある。
★red flag(1
か月以上持続、50歳以上、安静時痛、ステロイド使用、体重減少、癌、神経症)ないか聞く。
★FACET(facet=
椎間関節の意味)がないか探す。
 
 ①fructure(脊椎圧迫骨折、骨盤骨折、仙尾骨骨折)
 
  ・圧迫骨折は高齢者の尻餅で起きやすい。叩打痛ないか⇒あればレントゲン撮影し、叩打痛のところを入念に見る。叩打痛のない圧迫骨折は陳旧性。新鮮圧迫骨折はSTIRhigh/T1low。圧迫骨折あれば整形入院させ、圧迫が進行しないように水平位を保つ。コルセット装着し1か月の安静後、リハビリ開始。痛み止めはカロナール2009T/3x→トラムセット3T/3x。それでも痛いなら硬膜外ブロック(ペイン外来consult)
 
  ・骨盤骨折があれば必ず造影CTを行い、現在の出血がないか確認する。骨盤骨折は入院。
 
  ・仙骨尾骨の骨折は保存的に見るしかないので、痛み止めを処方し翌日整形外科受診を指示。
 
 ②aorta(腹部大動脈の瘤や解離)
 
  ・移動する痛み、高血圧既往、腹部拍動性腫瘤あれば、腹部エコーを行う。
 
  ・3割は腹部拍動性腫瘤がないこともある。
     cf)
腹部大動脈瘤破裂について
      
・腰痛を初発とする腹部大動脈瘤破裂は比較的慢性的な経過を取り見逃しやすい。
      
・体動によらない腰背部痛、血圧低下、嘔吐は腹部大動脈瘤破裂or切迫破裂の徴候。
      
closed rapture(破裂による出血が後腹膜腔にとどまった状態)ではタンポナーデ効果によって一時的に出血が抑えられ、血圧が回復することがある。
     cf)
腹部大動脈瘤の壁在血栓と解離性腹部大動脈瘤の違いについて
       
・腹部大動脈瘤AAA)の血管を取り囲むようなLDAは壁在血栓であることが多い。破裂の危険性とともに血栓が末梢に飛んで足壊疽などの危険性もあり。
       
・血管を取り囲む血栓が三日月状で単純CTにてhighに見えた場合はcrescent sign陽性で切迫破裂の危険性がある。
       
・壁在血栓は内膜の内側に動脈硬化で生じたもの、解離は中膜が解離して偽腔となり血液が流入したもの。内膜の石灰化が大動脈内に見えた場合は解離の可能性あり。
       
・真性AAA>50mm-55mm、限局解離を伴うAAA>45-50mmが手術適応。
 
 ③compression(ヘルニアや脊柱管狭窄)
 
  ・夜間痛(脊柱由来の痛みは、筋肉が弛緩する夜中に起きやすい)、痺れ、尻の中央を押すと足先まで痛みが放散(坐骨神経痛)、膀胱直腸障害ないか見る。両下肢の運動も感覚もまだらに障害される。運動だけ完全に障害されるのは脳血管障害。
 
 ④epidural abscess  ・腰椎の手術歴+DM+発熱では常に考慮する。ワーファリン使用中の血腫の時もある。
 
  ・全身状態が悪い時や採血してCRP2ケタやWBC上昇あれば入院させる。ロセフィン(セフトリアキソン)2gを生食100mlに溶いて30分で投与を11回。
 
 ⑤tumor  ・体重減少、乳癌や前立腺癌既往あれば入院させてMRIを行う。
 
  ・腰椎の左右のpedicleが消えていれば骨転移の可能性あり。
☆FACET
がなければ急性腰痛症(脊柱起立筋の筋膜炎や棘間靭帯炎etc)としてケンタン(ロキソプロフェン)60mg1錠とムコスタ(レバミピド)100mg1錠を疼痛時頓服で処方する(腎機能低下あればカロナール(アセトアミノフェン)100mg3錠、透析中であれば逆にケンタンで良い)。暖めて動けるなら少々痛くても動くようにして、硬いベッドは避けるようにと指示する。
シップはインテナースシップ1袋など。かぶれるという人にはインテバンクリーム1%50mlやスミルスチックを処方する。


頭痛

<頭痛>
注意)SAHを疑うならCTで異常なくとも、MRI flair,T2star,MRAを行い、動脈瘤の有無を見ること。特に、CTでの明らかな出血がないが、脳溝の減少など脳浮腫の所見が認められた場合などはMRAを撮影するか、CTデータとともに脳神経外科に翌日受診を指示すること(救急で受診させてもいいくらい)。最悪なのはCTで明らかな出血を認めないminor leakageを見逃して再破裂させることである。
⇒50
歳以上、48時間以上続く、嘔吐伴う、後頚部痛伴う、いつもの頭痛と違う場合はCT所見が陰性でも翌日の脳神経外科を受診するよう指示すること。
危険な頭痛のred flagSNOOP(systemic disease,neurological,onset suddenly,older,pattern change)
まず、発熱あれば髄膜炎、なければSAHを否定する。「いつもの頭痛と違いはありますか?」と聞く。
 
 ・痛い痛いとうるさい人より、もう何も言いたくないという感じ、倦怠感が強い頭痛、なんとなくぼんやり(JCSⅠ-1)して小さい声で”痛い~痛い~”としきりに言っている場合はSAHかもしれない(頭痛以外に、そもそも吐き気や倦怠感などの症状も強いから)。
 
 ・片方だけの肩こり、今までにない痛み、片足だけよく躓く、等ないか。sudden onsetとは限らない。
 
 ・突然始まる頭痛は注意する。問診で、患者がかなり具体的に頭痛が始まった状況を説明できる場合(階段の3段目をあがろうとしていた、とか、テレビを見ていて○○のCMが始まって少ししたとき、とか)。
 
 ・髄膜炎は造影MRIで脳溝や脳槽が高信号になる。
発熱が原因の頭痛かもしれないので、胸写と尿検査(特に若年女性)をしておく。
女性ホルモン剤(避妊薬、月経困難症治療)服用中は頭蓋内静脈洞血栓症による頭痛もあり得る。長期服用でもここ最近の服用開始でもあり得る。
次に、脳内病変(巣症状)、緑内障(瞳孔散瞳左右差、片側充血、まぶたの上から押さえるとカチカチ)、巨細胞性側頭炎(ESR↑)を否定する。
片頭痛は、片方の頭痛+嘔気+光過敏+動けない+既往+片頭痛の家族歴。
☆cutaneous allodynia
(皮膚を触るだけで痛い)は、片頭痛の最重症型で片麻痺(かたまひ)になる人もいるので注意する。
緊張型頭痛は、後頭部や両側前頭部の痛み。肩こりやストレスが誘引。片頭痛に併発することもある。
片頭痛や緊張型頭痛はテルネリンやマクサルト(リザトリプタン)10mg1錠を疼痛時頓服で処方する。マクサルトは高血圧や脳梗塞既往には禁忌。
群発頭痛は片側で中年男性+興奮気味+結膜充血+流涙+鼻汁。ケンタン(ロキソニン)60mg1錠とムコスタ(レバミピド)100mg1錠を疼痛時の頓服で処方する。
痛みを感じない時間があれば神経痛かも。特に帯状疱疹に伴う大後頭神経痛は発疹あればバルトレックス(バラシクロビル)500mg2錠分25日分処方する。


髄膜炎

髄膜炎
疑わしい頭痛+発熱+項部硬直はまず採血。意識清明CRP正常ならあまり考えなくて良い。
乳幼児の発熱、意識障害、痙攣は髄膜炎を考えるが、Hibと肺炎球菌(PCV13)接種歴あればまず細菌性髄膜炎は否定的。
抗血小板薬単剤なら腰椎穿刺しても良い。2剤以上や抗凝固療法中はしない(脳外科や神経内科consult)
若年者の項部硬直はやはり腰椎穿刺を躊躇しない事。
腰椎穿刺での出血は、硬膜外腔にある静脈叢からのもの。出血による巨大硬膜外血腫とそれに伴う脊髄神経圧迫を起こす。
髄液所見が正常でもヘルペス脳炎は否定できない。
髄膜炎の治療はステロイドから投与開始し、4剤投与する。
 
 ・オルガドロン3.81ml 2Aを生食50mlに溶いて30分かけて14
 
 ・セフィローム1gCTRX,ロセフィン)2瓶を生食50mlに溶いて30分かけて12
 
 ・バンコマイシン0.5g1瓶を生食50mlに溶いて60分かけて(急速静注するとred neck syndrome14
 
 ・アシクロビル250㎎(ゾビラックス)2Aを生食50mlに溶いて30分かけて13
無菌性であれば髄液のHSV-IgM,HSV-IgGを測定し、症状が強い時は、細菌性も考慮し、HSV抗体価の結果は時間がかかるのでゾビラックス250mgを生食100mlに溶いて1時間で投与を13回、ロセフィン1gを生食100mlに溶いて30分で投与を12回、グリセレブ200ml1時間で投与を12回、ソルメルコート500mg,ラニチジン100mgを生食100mlに溶いて30分で投与を11回を行う。


ステロイド力価

cf)ステロイド力価(コルチゾール:アルドステロン) ・ソルコーテフ/サクシゾン(ヒドロコルチゾン)⇒1:1  プレドニン(プレドニゾロン)⇒4:0.8  ソルメルコート/ソルメドロール(メチルプレドニゾロン)⇒5:0  リンデロン(ベタメタゾン)⇒25:0  オルガドロン/デカドロン(デキサメタゾン)⇒25:0 ・コルチゾールは体内で120mg分泌される。


頚部痛

<頚部痛>
片側性の頚部腫脹で発熱あるときは化膿性リンパ節炎を疑う。齲歯や副鼻腔炎がないか見ること。CRP高値の場合は膿瘍の可能性もあり、造影CTが必要。小児で発熱、化膿性リンパ節炎あれば結膜、舌、指先を見よ(川崎病)。
関節リウマチでは環軸椎亜脱臼ないか見ておく。
化膿性リンパ節炎ではなく、歯槽膿漏による反応性のリンパ節腫脹のこともあり。


軽症頭部外傷

<軽症頭部外傷>
ステープラーで本処置する前にガーゼで仮処置をし頭部CTを施行する(ステープラーでartifactになってしまうため)。
老人なら頭部CTを行い、慢硬予防に1ヵ月後の脳外科受診を指示する。
☆CT
TraumaABCDEsのうち1つあれば行う。
①toddler
:よちよち歩き2歳以下のたんこぶ
②repeated vomitting
③accelerated headache
④unknown mechanism
:受傷機転不明
⑤multiple trauma
amnesia
:健忘
⑦alteredLOC
:意識消失や意識障害
⑧batterd child
:虐待
⑨convulsion
:痙攣
⑩drug/EtOH
:抗凝固薬など
⑪elderly
⑫skull fx sign
:頭蓋底骨折
脳震盪は数秒の意識消失なら1週間は運動禁止(second impact synd)
頭蓋底骨折の徴候は、①パンダの目、②耳介後部血腫(battle sign)、③二重丸の鼻血
頭部CTで血腫はCT値が50程度(ROIで囲んで、Max,Min,Avgを見る)。血腫は骨条件で写らなくなる。骨条件で映れば石灰化。
乳幼児は顔色いいか、号泣あるか、機嫌よいか、目線合うか、手足動かすかで判断する。
脳出血脳挫傷あれば、痙攣予防としてホストイン静注(体重50㎏で12mlを生食48mlに溶いて18分で投与)、止血剤としてチチナ,リカバリン静注。受傷後1,3,6,12時間後に頭部CTfollowし、意識レベル低下、アニソコ、出血の拡大(硬膜下血腫の増大や血腫の増大→脳溝の減少→正中偏位→瞳孔左右差)があれば脳外科callしグリセオール投与。不穏時はホリゾン/ドロミカム/プロポフォールで鎮静(頭部外傷では不穏になりやすい)。


意識障害

意識障害
デキスターで血糖値測定し、緊急一般の採血(T-bil,Cre,BUN,TKB,Na,K,Ca,Mg,TSH,freeT3/T4,ACTH,cortisol,CRP,WBC,neutrophil,)と頭部CT, 頭部MRIを行う。項部硬直あれば腰椎穿刺も必要(老人は筋鉤縮あれば全部の方向で首が硬い)。
頭部MRIではMRAで椎骨-脳底、内頚 2本、ACA/MCA/PCAを必ず確認する。T1からDWIまで全ての画像を見る。T1/T2で梗塞でもDWIでなければ陳旧性脳梗塞
常に失神と意識障害の両面から考える。
☆JCS
の記載はJCSⅠ-3-A/R/I(aparic安静/restless暴れている/incontinence尿失禁)等の様にする。
意識障害+心機能低下なら心原性ショック以外は頭(意識障害)を優先する。
まず低血糖否定。血糖値50以下なら、50プロツッカー(50%ブドウ糖液20ml)2A+アリナミン(ビタミンB1)2ml5A静注。
注)ビオタメジン1V中にチアミン(ビタミンB1)は100mg含むので11Vでよい(シーパラ1A2ml中にチアミンは10mg
原因がはっきりしないときは脳波検査を行うこと。
眩暈、嘔吐、後頸部痛伴うものはDWIMRA、頸椎2方向(CTでも可能)が必要。
頸椎で椎間板が狭小化している頸椎の上下に頚部前屈位ですべり症が起きる可能性がある(あれば椎骨脳底動脈系のTIAの疑いが強い)。頸椎正面で頚動脈の石灰化が見えることもある。
☆AIUEOTIPS
①Alcohol⇒Wernicke
脳症忘れるな、B11100mg投与する(ビタメジン1Vを輸液に混注する)。
②Insulin⇒DKA
HONK低血糖
③Uremia⇒
尿毒症、劇症肝炎(→BUNが保たれているか、脳症の程度、凝固系、胆嚢浮腫で経過見る。アミノレバン以外のアミノ酸は使わないこと。エルネオパは×。補液はブドウ糖ベースで。)
④Encephalopathy⇒
特発性/症候性癲癇、脳炎、高血圧性脳症
⑤Electrolytes⇒
Na血症、高Ca血症
⑥Endocrine⇒
下垂体、甲状腺、副腎
⑦Trauma
⑧Temperature
⑨Infection⇒sepsis
ないかSIRSチェック。髄膜炎は呼びかけで開眼するが傾眠傾向。
⑩Psychiatry⇒drop hand test
、”手で開眼させても話すとぱっと閉じる”
⑪Porphilia
⑫Seizure⇒
痙攣の目撃がないか。2回目以降なら癲癇(原因分かれば症候性癲癇、原因不明なら特発性癲癇)。痙攣後は意識混濁や発熱が見られることがある。痙攣現場を目撃していない場合、抗痙攣薬の減量による痙攣後の意識障害なのか、抗痙攣薬の増量による過鎮静なのかを血中濃度を見ること。
⑬Stroke⇒TIA
ABCD2スコア:エービーシーディースクエアスコア)
⑭SAH⇒
瞳孔左右差+交代性片麻痺あればテント切痕ヘルニアの可能性あり、緊急脳外科call。外傷性であれば部分的SAH動脈瘤破裂では心電図異常も出るし、CPAにもなる。頭痛は激痛とは限らず、意識混濁とともに痛い痛いと小さな声でずっとうなっている印象。


TIAでの入院基準

TIAでの入院基準
cf)ABCD2
スコア(エービーシーディースクエアスコア)TIAでの入院基準
 A(Age)60歳以上なら1
 B(BP)SBP140以上またはDBP90以上で1
 C(Clinical symptom)片麻痺あれば2点、構音障害あれば1
 D(Duration):持続時間が60分以上なら2点、10-59分なら1点、10分未満なら0
 D(DM):糖尿病あれば1
4点以上で2日以内の脳梗塞発症リスクが4%なので入院(脳外科病院へ転送する)
48時間以内の脳梗塞発症率
 0-3:1% 4-5:4% 6-7:8%
cf)TIA
について
TIA3か月以内に15%が脳梗塞を発症し、半数が48時間以内。
・症状は脳梗塞と同様。
例)「片側の顔面と手足が動かない、しびれる」「片方の目が見えない、物が二重に見える」「言葉が出ない、ろれつが回らない、人の話が理解できない」
・持続時間は10分前後。
・手のしびれのみは頚椎症や肩こり。手と口の両方のしびれがあればTIA
失神のみは循環器へ紹介(迷走神経反射や不整脈)。TIAでの失神は稀で、他の神経症状を伴う。失神がないからといってTIAを否定するのは大間違い!!
・過去にけいれんの既往がないか。あれば神経内科へ紹介。
・非心原性TIAの発症48時間以内はアスピリン160-300mg。発症予防はアスピリン75-150mgかクロピドグレル75mg(なければシロスタゾール200mg、チクロピジン200mg)。
・非弁膜症性の心原性TIAではワーファリン。70歳未満はPTINR2.0-3.070歳以上は1.6-2.6
・頸動脈狭窄が70%以上ある場合はCEA(脳外科紹介)。50%未満ではCEA適応外。
・禁煙、適切な体重維持と運動。飲酒は適量であれば良い。


頭部MRIの見方

cf)頭部MRIの見方
 
 ・DWIhigh/ADC活性DWIiso-loworDWIhigh/Flarelow)なら新鮮脳梗塞
 
 ・T1low/T2highなら陳旧性脳梗塞
 
 ・T1/T2/T2starlowなら陳旧性出血
   
脳梗塞1週過ぎからT1lowT2highになってくる。DWIはすぐにhighになっていき1日後がピーク、1週後にiso、そこからlowになっていく
   
脳出血T1では1週から1カ月の間だけhighで他の期間はisoT21日から1週はlow1週から1カ月の間はhighで他の期間はiso
cf)
脳梗塞発症時間の推定
DWIhighFLAIRhighなしなら発症3hr以内(FLAIRhighになるのは6hr以降)
CT脳梗塞がはっきりわかるのは8hr以降。∴脳梗塞の症状がありCTですでにLDAがある場合は別の部位に脳梗塞を起こしている可能性がある!CTLDAにすぐに飛びつかないこと!

頭頂葉脳梗塞(超急性期と12時間後のDWI


血糖値とNaの関係

cf)血糖値とNaの関係
 
 BS100mg/dl上昇すると、Na1.6mEq/L低下する。低血糖が改善するとNaは上昇してくる。


失神

<失神>
失神とは、数秒~数分の意識消失で自然に完全回復するもの、を指す。”ふらついて倒れた” 、”すぐに自然に意識が戻った”と言うことが多い。
常に意識障害と失神の両面を考える。
原因がはっきりしないときは入院させてホルター心電図を行うこと。
新しく降圧薬やβブロッカーが処方されてないかチェックする。→起立性低血圧による失神
症候性癲癇を否定するためには痙攣の有無に関して周囲の目撃証言が重要になる。
冷汗、嘔気、眩暈(浮遊感)、ふらつきなどの前駆症状がない場合や仰臥位失神では、心血管性失神(AVB,SSS,AS/AR,除脈を伴ったAf,HOCMなど)を考えて、心電図、採血、胸写をして、CHESSがなければ帰宅可能(congestive heart failure,Ht<30%,EKG,SBP<90mmHg,shortness of breath)。
前駆症状あれば、ほとんどが迷走神経反射や起立性失神(出血、貧血、脱水)。洞性頻脈や起立負荷でふらつき、嘔気、20以上の脈拍と血圧変化ないかチェックする。
食事中の失神は迷走神経反射だが、ホルターでSSSAVBが見つかることあり(抗ヒスタミン薬/ジキタリスブロッカー使用歴ないかcheck)。
迷走神経反射にはアトロピン0.5mgを輸液に混注して点滴も良い。
失神の原因としてのTIA1%であり、ほとんどない(大脳皮質や脳幹を支配する大きな血管が詰まって再開通などありえないし、脳底動脈閉塞なら麻痺や小脳症状が必ずあるはず)。
☆Af
と徐脈はTIAよりも心血管性を強く疑うパターン。
TIA
による意識障害は少なくとも30分以上持続するし、他の麻痺など神経所見を必ず伴う。それでもTIAを疑うなら、MRA,DWI,頸椎XRを行う。


弁膜症の手術適応

cf)弁膜症の手術適応
①AS
 ・ASC(APあれば5年、syncopeあれば3年、鬱血性心不全あれば2年の予後) ・4m/s以上、圧較差40mmHg以上、弁口面積1cm2以下のいずれかで手術適応
 ・有症状やEF50%以下で放置すると心筋症が進む
 ・めまい、ふらつきで来院することがある
 ・AVR>TAVR>内科治療、術後30日の脳梗塞発生率はTAVR5%AVR2.5%
②AR
 ・有症状、EF50%以下、LVDs55mm以上、LVDd75mm以上のいずれかで手術適応
③MR/MS
 ・有症状、EF60%以下、心房細動、いずれかで手術適応